モーツァルト作曲のオペラ「イドメネオ」
“ムハンマドの首”登場のオペラ中止 ベルリン
速報
【ベルリン=黒沢潤】ベルリンの歌劇場「ドイツオペラ」は26日、11月に予定していたモーツァルト作曲のオペラ「イドメネオ」の上演を中止すると発表した。イスラム教の預言者、ムハンマドの切られた首が出てくる場面があり、イスラム教徒を刺激するのを避けるための措置という。
同オペラを演出したのは、ドイツ人のハンス・ノイエンフェルス氏(65)。11月に計4回、上演する予定だったが、警察当局から今年8月、「不測の事態」が起きる可能性があるとして上演を中止するよう助言されていた。
ノイエンフェルス氏は奇抜な演出をすることで知られ、2003年に同オペラを初演した際には、ムハンマドだけでなく、仏陀やキリスト、ギリシャの海の神・ポセイドンの首まで登場させ、非難を浴びていた。
一方、今回の上演中止には政界から異論が続出。ボーベライト・ベルリン市長は「間違った行動だ。(芸術の)自由は尊重されるべきだ」と強調。社会民主党(SPD)幹部も「テロリストへの譲歩になる」と、上演中止を批判している。
イスラム教をめぐっては今年初め、デンマークの新聞がムハンマドの風刺漫画を掲載したことで、世界各地で抗議行動が発生した。今月中旬も、ローマ法王ベネディクト16世がイスラム教の「聖戦思想」を批判する神学講義を行い、イスラム教徒から強く批判されていた。
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