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お遍路セットも登場
ウオーキングシューズ 中高年向けが充実
  東京朝刊 by 山口暢彦
少子高齢化の影響で、スポーツウエアの販売ターゲットが若者から中高年へシフトしつつある。特に中高年向けのウオーキングシューズを充実させる動きが目立つ。中には、ブームの「お遍路」をウオーキングのルーツとして、白衣やつえをシューズとセットで売り出す専門店も現れた。

アシックスが発売している中高年向けウオーキングシューズ。茶系の革製で、一見、普通の靴だ=横浜市「アシックスライフィール青葉台」
アシックスが発売している中高年向けウオーキングシューズ。茶系の革製で、一見、普通の靴だ=横浜市「アシックスライフィール青葉台」

お遍路セット
阪急百貨店イングス館(大阪市)は平成16年4月、「若者向けのスポーツ専門店」路線を変更し、30代半ば以上をターゲットにした店舗としてリニューアルした。

「1階は旅」「2階はウオーキング」などと、それぞれの階のコンセプトを中高年受けしそうなもので明確化し、「よりよい生活を送ってもらう提案の姿勢を前面に出した」という。

ウオーキングシューズの品ぞろえを充実した2階には、珍しい「お遍路セット」も。好きなウオーキングシューズを選び、白衣やつえなどとセットで買えば、約2万円だ。「1、2年前からお遍路が(中高年に)ブーム。ウオーキングのルーツだと思いました。50代、60代を中心にコンスタントに売れています」と、宣伝広報部の池田浩介さんは話す。

「孫」用も充実
スポーツ用品メーカーも、中高年をターゲットにした戦略に力を入れている。

ミズノは、中高生向けだったスポーツウエアブランド「スーパースター」を4月、中高年向けにリニューアルした。ウエストの最大幅を8センチ太くしたほか、色調も、パステルカラーを黒にするなど抑え気味に。来年2月には、通常の生活でもよりおしゃれに着こなせるよう、デニム調やニットベースを取り入れる。広報宣伝部の古山英里さんは「少子高齢化を見越した戦略の転換」と話す。

また、アシックスは「シニア」「子」「孫」3世代をターゲットにした直営店を展開する。シニアのウオーキングシューズを充実させると同時に、孫用のスニーカーもふんだんに並べ、シニアに財布のひもをゆるめてもらおうという戦略だ。

昨年9月オープンの1号店「アシックスライフィール青葉台」(横浜市)は、シニア用に100種類以上のウオーキングシューズをそろえる一方で、「孫」用の商品もスニーカーを中心に70、80種類品扱う。「レジでシニアが孫のために支払いをされる姿をよく見かけます」と、店を運営する「アシックス スポーツ ビーイング」第二営業部長、玉置充さんは手応えを感じている。

運動教室
メーカーは新商品の開発やPRに向け、近年、シニア向けのスポーツ教室にも力を入れている。

デサントは昨年4月以降、東京都豊島区や大阪府和泉市など6自治体から受託して、高齢者向けの転倒予防教室などを実施している。例えば、豊島区で行っている「筋力アップはつらつコース」(全24回)では、各種のストレッチや筋力トレーニングなどを指導。広報グループの松山澄江さんは「高齢者がどのような動きをし、そのためにはどんな素材や機能のウエアがいいのか研究するのも狙いの1つ」と明かす。

一方、ミズノは昨年12月から、島根県出雲市や栃木県足利市などの地方都市で、地元スポーツショップなどと組み、ウオーキングやエアロビクスを中心に、中高年向けの「いきいき健康道場」を開催している。「地方にはスポーツクラブが少ない。体を動かす楽しみに目覚めてもらい、ミズノ製品の購買につながれば」と広報宣伝部の古山さんは話している。

国内出荷、顕著な伸び
市場調査会社の矢野経済研究所は8月、スポーツシューズ市場の動向をまとめた。少子化などの影響で、バレーボールやテニスなどの競技用シューズが縮小または横ばいの状態であるなか、伸びが顕著なのがウオーキングシューズだ。

同研究所の調査によると、平成16年の国内出荷数量は332万6000足で前年比22・5%増、17年が401万5000足で前年比約20・7%増。広報室の中村理美さんは「中高年のニーズが高い。今後、さらに伸びが期待できるだろう」としている。



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