コンビニエンスストア大手のサークルKサンクスが27日、若い女性をターゲットにした新業態店を東京・八重洲にオープンさせる。店内で調理した食品を食べられる空間を設けたほか、内装や品ぞろえも女性を強く意識している。コンビニの顧客層は男性が優位。低迷する売り上げの向上に女性客の取り込みは至上命題で、各社とも女性が気軽に入れる店づくりを模索している。
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サークルKサンクスの新型店舗は飲食コーナーを重視した店内にし、ビジネス街の女性を取り込む狙い=東京都中央区の「フォークトーク」 |
サークルKサンクスは開店を前日に控えた26日、新業態店「
フォークトーク(Fork Talk)」をマスコミに披露した。JR東京駅近くのオフィス街に設けた店舗の特徴は、パスタや焼きたてのパンが食べられる「イートイン」コーナーを設置した点だ。内装は暖かみを演出するため、ベージュやグリーンを基調にし、間接照明も使用。ジャズやボサノバの音楽が流れる。
「20〜30歳代の働く女性のニーズを取り入れ、『できたてのおいしさと楽しく便利な品ぞろえで顧客のもてなしをする』との考えで店づくりを進めた」と土方清社長。
女性客をターゲットにしたコンビニでは、エーエム・ピーエム・ジャパンが東京・虎ノ門に「ハピリィ」を出店し、価格の高い化粧品や下着などの商品を販売。ドラッグストアに来店する女性客の取り込みを模索する。ローソンは、自然素材の食品を重点的にそろえた「ナチュラルローソン」を展開するが、この店も都会で働くOLの取り込みを狙っている。
各社が女性の取り込みに力を入れるのは、既存店顧客の女性比率が少ないためだ。サークルKサンクスの場合、7割が男性客が占める。コンビニの既存店売り上げは前年割れを続け、これまでコンビニを敬遠していた客をいかに取り込むかが大きな課題となっている。「時代が変化し、コンビニも変わらないといけない」(土方社長)との危機感が、女性向け店舗の開発に向かわせている。土方社長はこの店で女性客比率を6割にアップさせ、1日の売り上げを1・5倍に伸ばせるとそろばんをはじく。
ただ、女性向け店舗には、問題点も指摘される。「女性にターゲットを絞り込みすぎると、上得意の男性客の利用が少なくなるジレンマがある」(コンビニ大手)。それだけに土方社長もこの店を「あくまで実験店」と位置づけ、来年2月までにもう1店出店を予定するだけという。
店舗の多様化には、新規顧客層を取り込める半面、取扱商品数が増えるなど店舗運営のコストが増大するマイナスも見逃せない。コンビニは全国一律の店舗形態や品ぞろえを武器に拡大してきた面もあり、各社は今後、ジレンマの中で店舗開発の着地点を探ることになりそうだ。