神秘的な雰囲気
タトゥーに漢字…日本文化浸透
東京朝刊 by 松尾理也
日本の入れ墨ならぬ「タトゥー」が米国内で市民権を得ているのはもはや周知の事実だが、そのデザインとして、「漢字」をみかけることが最近、めっきり増えた。
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エリカ・スタンレーさんの店には、タトゥーのデザインとしての漢字の表示板まで備えてある |
ロサンゼルスでタトゥー・パーラーを営むエリカ・スタンレーさん(37)は5、6年前から漢字ブームが始まったと感じている。「腕に『LOVE』と彫り込むことはよくあったけど、その代わりに『愛』と漢字を使う。ちょっと神秘的な雰囲気が出るからね」
西海岸では、漢字はTシャツなどにもよく用いられる。ただ、雰囲気だけで字を選ぶと、とんでもないことも起きる。ロサンゼルス・タイムズ紙は女性の腰のあたりに施されたタトゥーを見て仰天した中国人の話を紹介している。何と「下痢」と書かれていたのだ。
この点、日本人の母親を持つエリカさんは同業者に一歩先んじている。自身、日本語はほとんど話せないものの、それぞれの漢字の意味を確認、母親にも問い合わせたうえで客に説明しているという。「漢字を理解しないアメリカ人だって、自分の体の一部になるタトゥーの意味はやはり知っていたいと思うものよ」
「漢字」の本家は日本ではなく中国だが、エリカさんによると、大半の客は「日本の漢字を」と注文するのだという。実際には、客は日中の漢字の使い方の違いなどわからないのだが、これも日本文化の浸透ぶりを示すエピソードだろうか。
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