開催中の「東京ゲームショウ2006」で“異変”が起きている。従来とはターゲットを変えたゲームソフトが多数出品されているのだ。携帯ゲーム機から火がついた頭脳を鍛えるソフトを各社が展示しているのをはじめ、高齢層や主婦、“ゲーム離れ”したサラリーマンなど個々のソフトが狙う顧客層はさまざま。任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」のヒットに触発されたことが背景にあるもようで、「ゲームはマニアと子供のもの」という概念は崩れつつある。
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模擬株式売買を楽しめるコナミのゲームソフト「株式売買トレーナー カブトレ!」 |
今回のゲームショウでは「脳」に関するゲームの多さに驚く。クイズや計算ドリルなどで頭を鍛えたり、漢字や英語を習得する教育系ソフトなど確認できただけでも数十本のソフトが展示されている。もちろん、ターゲットは大人だ。
また、対応ゲーム機もDSだけでなく、プレイステーション・ポータブル(PSP)や携帯電話向けなどに広がっており、ゲームソフトの一つのジャンルとして確立したようだ。
セガのブースで人だかりができたのは「オシャレ魔女ラブandベリー〜DSコレクション〜」(展示は22日のみ)。もともと、遊戯・商業施設などに置く大型ゲーム機で、洋服や靴などの絵柄がかかれた専用カードを使いながら、主人公の少女のおしゃれやダンスを楽しむゲームだ。これは、2億枚近くのカードが売れる大ヒットになった。
大型スーパーの一角に母娘が行列を作る風景は今や社会現象。「家庭でも楽しんでもらおう」とニンテンドーDS向けに発売する。発売は11月22日。カード読み取り機がセットで6090円。
コナミのブースで発表されたのは、模擬株式売買や銘柄検索などを手軽に体験できるDS向けソフト「株式売買トレーナー カブトレ!」(12月14日発売、価格未定)。株初心者の主婦やOLがターゲットだ。マネックス証券の協力を得たほか、収録データは過去5年間の株価など実データに基づいている。
開発にあたった岡村憲明プロデューサーは「ゲームっぽくないゲームが売れる下地が整ってきた」と手応えを語る。
このほか、動体視力を訓練するソフトや電子書籍など、これまでになかったジャンルのゲームソフトが多い。
ゲーム調査会社・エンターブレインの調べでは、縮小傾向だった国内ゲーム市場(オンラインゲームは除く)は昨年、5年ぶりに増加に転じた。今年の市場規模は各社が新型ゲーム機を投入することもあり、前年比27%増の5763億円。6年ぶりに5000億円の大台を回復する。ゲーム層拡大が市場の拡大につながるか注目される。