毎年夏、琵琶湖畔で行われる鳥人間コンテスト選手権大会の司会を引き継いで今回が5年目。
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「第30回鳥人間コンテスト選手権」で司会をつとめた今田耕司さん |
滋賀県彦根市松原水泳場に作られた湖上10メートルのプラットホーム上で、まさに飛び立たんとする選手たちに声をかけたり、湖上のボートで見守る家族と選手の間に立って会話をつないだ。
一般参加者にツッコミを入れるのは、他の番組でも慣れたもの。しかしここ鳥人間コンテストでは少し勝手が違う。
「1年間をこの大会のためにかけてきたパイロットやチームメートの真剣な表情を見ていると、飛び立つ前にかける言葉も、自然と選ぶようになりますね。寝ないで準備してきた、脂ぎった顔や神妙な顔が、プラットホームを無事飛び立った瞬間笑顔に変わって、努力が報われた表情になるとほっとします」
30回記念大会となった今年は51団体が参加。日差しのきつい7月中旬に2日かけて行われたこの大会に密着したが、ひとつのことに熱中する選手たちの姿を、自分に重ねることができるという。
「僕が熱中してきたのはお笑いの舞台。計算上ではうまくいくのに、実際やってみるとコケることも多いのは、鳥人間コンテストと同じ」とか。
司会をしていて気づかされたのは、鳥人間コンテストに参加する選手たちと周囲の人間との絆(きずな)の深さだという。特に、学生パイロットと親のやりとりにはっとさせられた。
息子のためにお守りを握って伴走ボートに乗り込む両親。機体が墜落して湖にほうり出された息子が引き上げられた瞬間、顔をタオルでぬぐってやる母親に照れずに身を任せる学生…。
「若い学生による親殺しなど、嫌なニュースが取り上げられることも多くなってますけど、このコンテストで親子の良いコミュニケーションを見ることができて気分がいいですね。ほっとしました」と笑顔を見せた。
優しい目線とおなじみの明るいトークが、緊張した選手の心をほぐし、湖空に飛び出すのを後押しする。