美容や健康のためにと主婦やOLのけいこ事として定着しているハワイ舞踊、フラダンス。しなやかな動作から女性的なイメージが強いが、軽妙な動きの「男性フラ」に挑戦する愛好者が増えている。しかも、有名なハワイアン歌手に弟子入りしたり、本場ハワイの競技会で優勝したりと、本腰の入った男性が多い。その魅力を探った。
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今月、ハワイで行われたフラの競技会で優勝した渡辺さん(右)のチーム |
大阪府豊中市蛍池で居酒屋を営む原和也さん(34)は毎週土曜日、午前8時の飛行機で東京に向かう。ハワイの人気歌手、ケアリイ・レイシェル氏が主宰するフラ教室に通うためだ。
フラとの出合いは約10年前。「サーフィンが好きでハワイによく行っていたのですが、自然、音楽、文化、何もかもが好きになって。気がついたらフラを踊りたいという気持ちになっていた」という。
元来フラは、ハワイの人々が神々にささげた神聖な舞。メレと呼ばれる詩歌の世界を、手の動きで表現し、これに表情や全身の動きを合わせて、神や自然への畏敬(いけい)の念を表すものだ。伝統的な祈りの舞は、男性だけに許されたものでもあった。
「踊ると、自然への感謝の気持ちがわいてくる。都会暮らしでは得られない安らぎがある」
原さんは、フラについて知れば知るほど探究心をかき立てられた。習うなら現地の人に師事しようと、2年前からレイシェル氏のもとに通っている。
ハワイの情報誌「フラレア」編集長・平井幸二さん(46)によると、男性の間でフラが浸透してきたのはここ10年。「男女比でみれば、1対200くらいでしょうか。圧倒的に女性の方が多いですけど、男性フラの教室が全国で100軒くらいに増えてきました」
こうした普及ぶりを示すように、今月、本場ハワイの競技会で、京都の男性フラチームが、古典フラ、近代フラの2部門で優勝した。
チームは20代から50代までの総勢11人。メンバーの1人で、フラ講師の渡辺コースケさん(26)は、学生時代にハワイアンライブで初めて男性フラを見たときの衝撃が忘れられない。「フラダンスといえば、おばちゃんの踊り。そんなイメージが、がらっと変わった。かっこよかったんです」
ゆったりとした動作が続く女性フラに比べて、男性フラは動きが速く、コミカルなのが特徴。重心を低く保つため筋力を激しく使う。ダンスというよりチームワークも必要なスポーツだ。