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「高級」に絞って差別化 高い利益率実現
「一休.COM」森正文社長に聞く 
  東京朝刊
インターネットの普及で、消費者の生活スタイルが大きく変化したものの一つに「旅行」がある。かつては旅行代理店を通すことも多かったホテル・旅館の確保も、オンライン予約の利用が目立っている。ネット専業のサイトに、既存旅行代理店系、ホテルチェーンなどの直営サイトが入り交じって激しい競争が繰り広げられているこの分野で、取り扱いを「高級ホテル・旅館」に絞ることで独自色を打ち出し、ネット企業としても高い利益率を維持している「一休.com」の森正文社長に話を聞いた。

インターネット利用率調査会社のネットレイティングスによると、7月の旅行サイトの利用者は2378万人と、前年同月から330万人増加。国内ネット利用者の55%が利用していることになり、今後も成長が見込まれている。

森社長はもともと、大手生保で資産運用を担当していたが、1990年代後半に起業を決意。「独立したものの、最初は何をやるか決まっていなかった」というが、間もなく、当時ビジネスの舞台としても本格的に注目されつつあったインターネットでの事業展開に目をつけた。

ネット上のビジネスで成功の可能性が高いのは「オークション、旅行、金融、ニュースのいずれかだ」と考えていた森社長が、まず始めようとしたのはオークション。その中でも、希少性が高い「プレミア」ものに目をつけ、有名人のレアグッズや、テレビ局の空きCMスポットなどの変わり種商品を出品できるよう、各種企業などにかけ合い続けたが、なかなか思うように進まなかった中で「新宿のシティホテルがスイートルーム宿泊のオークションに応じてくれた」ことが、大きな転機になった。

同社はホテル宿泊のオークションを現在も続けているが、事業の主軸は、高級ホテル宿泊をあらかじめ決めた価格で売り出すモデルに間もなく移り、平成12年には、現在の形での一休.comサイトがほぼ完成。その後も契約ホテル、旅館を増やし続け、今年6月末時点では過去2年の間にサイトを利用して予約を行ったことがある「アクティブユーザー」が58万人以上にのぼる規模に成長し、昨年には株式上場を果たした。

国内のホテル・旅館予約サイトでは、「yahoo!トラベル」、「楽天トラベル」の2つが最も多い利用者を抱える構図が続いているが、一休がこれらと異なるのは、予約対象を高級ホテル・旅館に絞ることで、平均単価22000円という高額取引を達成していること。当然、同社が受け取る手数料額も高くなる一方、「システムなどに過剰な投資はしない」方針をとることで、18年度第1四半期(4〜6月)決算でも手数料収入などの営業収益4億9500万円に対し、経常利益は2億8500万円で、売上高経常利益率は57・5%という高率になっている。

このような「優良経営」を続けていることについて、森社長は「一部の例外を除けば、ネット上ではモノよりもサービスを売るほうが長続きする」と強調。「大手ポータルサイトなどが提供しているものと差別化を図ることで、市場の一角を確保できたことが大きく、コンテンツの重要性が証明された」として、今後は先に始めた高級レストラン予約サービスも拡充していくとしている。



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