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頭も体もトレーニング
“快汗”スカッシュ ゲーム要素、ダイエット  
9月9日(土) 東京朝刊 by 山口暢彦
ラケットを使い、四角い部屋の中で交互にボールを打ち合う、イギリス発祥の室内球技「スカッシュ」。時間当たりの消費カロリーがテニスの2倍ともされるその高い運動量と、予想力や判断力次第で若い人にも勝てる「頭脳ゲーム」としての面白さに注目が集まり、若い女性や中高年の間で徐々に人気が広がっているという。スポーツの秋。準備運動をしっかりしたうえで、一度挑戦してみてはいかがだろう。

スカッシュで汗を流す愛好者ら=千葉県浦安市の「セントラルフィットネスクラブ新浦安」(撮影・寺河内美奈)

女性や中高年に
スコーン、スコーン…。ゴム製のボールが壁に当たる音が心地よく響く。JR新浦安駅(千葉)近くのスポーツクラブ「セントラルフィットネスクラブ新浦安」。夜の8時、コートでは40〜50歳代の男女8人がスカッシュを楽しんでいた。8人は地元のスカッシュ・サークルのメンバーで、みな仕事を終えてから集まった。

その1人、民間研究団体勤務の小笠原福司(ふくし)さん(54)はスカッシュ歴9年。始めたきっかけは、暴飲暴食が原因で体調を崩したことだった。「30代から40代にかけて仕事ばかりの生活。地方へ会議に出かけては、夜遅くまでお酒を飲むという繰り返し…。その結果、肝機能障害になるなど、体がボロボロになっていました」

体を“立て直そう”と決意し、このスポーツクラブに通い始め、興味を持ったのがスカッシュ。2年間、クラブのマシンで基礎体力トレーニングを積み、体重を9キロ絞った時点で入会した。

「初めは空振りをしたり、変な方向へ打ったりで、ラリーが続かなかった」と振り返るが、週3日のペースで練習を重ねたところ、メキメキ上達。今では夜は熟睡できるようになり、肝機能は正常値に戻ったという。

「今は10月におこなわれる(日本スカッシュ協会主催の)『マスターズカーニバル』を目標に練習しています」と語り、流れる汗をぬぐった。

高い消費カロリー
その運動量は予想以上にハードだ。日本スカッシュ協会(東京)によると、20分間プレーすればエアロビクス50分間に相当するという。また一般的に、30分間プレーした際の消費カロリーはテニスの2倍、ゴルフの3倍ともいわれ、減量効果はかなり高い。

そして、その高いダイエット効果に着目してか女性の関心が高まっているようで、人材アウトソーシング事業を展開する「フルキャスト」が昨年夏、約220人の女性(16〜38歳)を対象に「挑戦してみたいスポーツ」を聞いたところ、ヨガや乗馬などに続き、スカッシュは10位に食い込んでいる。

実際、スカッシュコートのある施設を全国で55カ所運営している「セントラルスポーツ」(東京)事業開発部の河井秀一さんによると、同社のスカッシュ・スクールの会員は5、6年前に比べて20%以上増えているという。また最近は中高年の姿も目立つようになってきたといい、「ラケットとシューズがあれば1人で、自分のペースで練習できるのが魅力ではないか」と河井さん。

また、「立体ビリヤード」と表現されるように、頭脳ゲームの要素が高いことも中高年が注目する理由のようだ。小笠原さんは「相手が打ち返しにくいところに打つなど頭でプレーするので、若い人にも勝てます。それがまた気持ちよく、ストレス解消にもつながるんです」と語った。



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【用語解説】スカッシュ
19世紀初頭、英国の囚人が運動不足を解消するために始めたといわれている。スカッシュは「ぎゅっと押しつぶす」という意味。国内の愛好者人口は約30万人。コートのある施設は全国に約260カ所。日本スカッシュ協会のルールによれば、四方を壁に囲まれた縦9・8メートル、横6・4メートルのコートでプレー。前方の壁の高さは5・6メートル以上なければならない。最初のサーブは、正面の壁にひかれた2本のラインの間に当てる。返ってきた球(直径4センチ)は2バウンドする前に拾って正面の壁にノーバウンドで返す。その途中、前後左右どの壁にあたってもいいので、ラリーが続きやすい。