映画「UDON」とのタイアップ商品
東洋水産の「UDON 讃岐風うどん」はこうして生まれた
9月8日(金) 東京朝刊 by 海老沢類
リニューアルを含めると、年間600を超える新製品が生まれるとされるカップ麺(めん)市場。激しい生き残り競争の中で、東洋水産の「UDON 讃岐風うどん」が好調な売れ行きを見せている。
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東洋水産の即席麺本部の須賀真澄・商品1課長(撮影・海老沢類) |
全国東宝系で公開中の映画「UDON」とのタイアップ商品として先月発売された。映画との相乗効果もあり、通常の新製品の倍以上の売り上げを記録。今月末までの限定発売だが、社内からは「やめてしまうのはもったいない」との声も上がっている。
讃岐うどんの特徴といえば、もちもちした太めの麺。商品の成否は手打ち麺のこしと歯応えをカップ麺でどこまで再現できるかにかかっていた。
「カップ麺の場合、お湯を入れてからの待ち時間は5分が限界。短時間で麺が確実に戻るようにしたうえで、讃岐風の強いこしを持たせる。この相反する課題がのしかかった」。同社即席麺本部の須賀真澄・商品1課長(45)は、開発の苦労を振り返る。
強いこしを生むために、小麦粉などの原材料の配合比率をパーセント単位で試し、麺の厚みを変えていった。完成したサンプルは大阪支店で試食されたが、本場・讃岐に通い詰めた社員の評価は「これは讃岐うどんじゃない」という手厳しいものだった。
「麺のこしは弱い。だしとの調和もない。かやくが目立ち過ぎる−。すべてにおいて合格点以下だった」と須賀課長。
同様の作業を繰り返し、麺の厚みは通常のカップうどんの2割増しで落ち着いた。存在感ある麺とのバランスを考え、煮干しだしをベースにしたあっさりめのつゆに、甘めの厚揚げとねぎをのせてシンプルに仕上げた。苦労の甲斐あって、発売後は「麺にこしがあり、食べ応えがある」という反響が続々と届いたという。
映画の中では、うどんブームの頂点で、同社がうどんをカップ麺として商品化する設定で登場する。「発売期間が終わったら、赤いきつねのファンに移行してほしい」(須賀課長)という願いを込め、パッケージは赤いきつねのデザインを踏襲した。映画のストーリーと同様、ブームの後で真価が問われることになりそうだ。
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