PS戦略に微妙な狂い
ソニー PS3の欧州発売を再延期
9月7日(木) 東京朝刊
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の久多良木健社長は6日、都内で会見し、基幹部品の量産が軌道に乗らないため、次世代ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」の欧州での販売を来年3月上旬に再延期する方針を明らかにした。ノートパソコン用充電池の不具合に続き、最大の戦略商品であるPS3の発売延期は、業績の回復途上にあるソニー本体にとっても足かせになりそうだ。
SCEは当初、今春にPS3を発売するとしていたが、今年3月に発売延期を発表。欧米では11月17日(日本国内は11月11日)に発売するとしていた。日米の発売は予定通りだが、欧州ではクリスマス商戦に間に合わないことになる。
PS3の売り物の一つが次世代DVD「ブルーレイ・ディスク(BD)」の再生機能だが、BD再生の基幹部品「青色レーザーダイオード」の量産工程で品質にばらつきが生じたという。
このため、PS3の量産開始が当初の9月初旬から月末にずれ込んだ。SCEでは「来年3月末までの出荷台数は約600万台で変更はない」としているが、計画達成は微妙な状況だ。
ソニーは、PS3に投じた巨額の開発費もあって19年3月期のゲーム部門はもともと1000億円の赤字を見込んでいた。これに加えて、海外向け出荷では、航空機輸送の頻度が高まる可能性が高く、「輸送費は確実に増える」(久多良木社長)という。問題の青色レーザーの歩留まり(良品率)悪化も収益圧迫の要因となる可能性もあり、ソニーのPS戦略に微妙な狂いが生じている。
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