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原材料表示や特別メニュー 
外食チェーン アレルギーに配慮
9月1日(金) 東京朝刊 by 高橋寛次
ファストフードやファミリーレストランのメニューには、多彩な料理から選ぶ楽しさがある。だが、原材料に何が使われているかを慎重に確かめなければならない人もいる。特定の原材料にアレルギーを持つ人には、カロリー量や原産地の表示以上に、アレルギーに関する情報が大切だ。そうした情報提供や、原因となりやすい原材料を使わない料理を出す動きが外食チェーンにも広がってきた。

子ども向けメニューに、アレルギーを引き起こしやすい原材料を使わない料理をそろえるファミレスも登場=東京都新宿区の「デニーズ市ヶ谷店」(撮影・高橋寛次)
子ども向けメニューに、アレルギーを引き起こしやすい原材料を使わない料理をそろえるファミレスも登場=東京都新宿区の「デニーズ市ヶ谷店」(撮影・高橋寛次)


ファミレスでも弁当
アレルギー体質の人は、外食を避けた方が無難とされる。料理にどんな原材料が使われているかわからず、アレルギー疾患の発症の恐れがあるためだ。とはいえ、たまには外で食事をしたいとの思いは捨てがたい。

東京在住の武内澄子さんと長女には、食物アレルギーがある。武内さんは「昔はおすし屋さんしか行けなかった」と振り返る。しかも食べるのはかっぱ巻きだけ。明らかに卵や牛乳が使われていないからだ。友人らとファミレスに行く際も、弁当持参だったという。

長女が生まれた直後の21年前から、武内さんは食物アレルギーに関する啓発活動を行ってきた。現在は会員750人の「食物アレルギーの子を持つ親の会」代表を務めている。厚生労働省がアレルギー情報の表示義務づけを検討した際は、消費者代表として検討委員を任された。

義務なくても公開
深刻な場合は重大な結果を招くことを啓発した武内さんらの活動で、加工食品にアレルギーを起こす可能性のある原材料の表示が、平成14年から義務づけられた。表示義務のない外食産業でも、インターネットのホームページ上でアレルギー情報を公開する企業が増えてきた。

日本マクドナルドは、どのメニューにどんな原材料が使われているか、といったアレルギー情報を携帯電話でも閲覧できる。「モスバーガー」を展開するモスフードサービスも、レジにこうした情報を集約し、レシート用紙に印字できるようにして対応している。

また、ファミレスの「デニーズ」では、食物アレルギーを持つ子供向けに、加工食品で表示が義務づけられている5品目を、まったく使わないハンバーグやソーセージなどの盛り合わせ、カレーなどのメニューを用意した。軽度のアレルギーなら、原因となる原材料を使わない料理で危険を避けられるが、重度の場合は、調理の過程で混入する可能性さえ危ないとされる。

メニュー開発に携わったデニーズジャパン商品部の水村郁代・商品開発総括マネジャーは「他の料理とはまったく別のラインで、1人がそれにかかり切りで調理する」としており、「さらにメニューを増やしたい」と要望に応える意向だ。

25品目以外も希望
外食産業の取り組みについて武内さんは、「アレルギー情報の表示は、以前に比べて格段に改善された」と評価する。一方で「5品目以外はまだ不十分なことが多く、(これに準ずる20品目を含む)25品目やそれ以外の食材に関してもアレルギーを持つ人がいる。ホームページだけでなく、店先や店内で情報を得られるのが望ましい」と訴える。

友人や家族と楽しいひとときを過ごせる外食店舗。訪れた人が気兼ねなく食事を楽しめるよう、メニューにもさまざまな配慮が求められる。



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