ダンス、音楽、CGが融合
オペラ・バレエ「レ・パラダン」 欧州最先端の表現が初上陸
東京朝刊 by 平末広
18世紀初めのバロック時代の作曲家ラモーの音楽と、クラシックからヒップホップ、アフリカンに至るさまざまなダンス、さらにCG映像が融合したオペラ・バレエ「レ・パラダン」。22日にパリ・シャトレ座で行われた最終公演の舞台と同じスタッフ、キャストで、11月4日から、東京・渋谷のオーチャードホールで上演される。
|
さまざまなコンテンポラリーダンスが圧巻の「レ・パラダン」の舞台(C)Patrick Berger |
「レ・パラダン」は200年前の音楽だが、決して古くない。ベルリン・フィルの芸術監督のサイモン・ラトルは「ラモーの音楽の中には、彼の生きた時代のはるか前から、現代の音楽まであらゆる音楽の要素が含まれている。演奏する度に新しい発見がある」と現代人の感性を刺激する音楽だという。
この舞台を指揮した古楽器界のカリスマ、ウィリアム・クリスティは、「バロック時代の音楽をよみがえらせることは、一定の成果を上げた。これからは、現代に演奏される音楽として考えていくことが重要。これからも若い才能ある演出家や振付家との共演も考えている」と語っている。
遍歴騎士(レ・パラダン)のアティスとアルジの恋の物語というストーリーが展開される。CGや実写を組み合わせた雲の上の世界やパリの地下鉄の映像が映し出され、その映像と音楽にのせて、歌手が歌い、ダンサーたちがさまざまなダンスを披露する。フランス国立ダンス・スクールで教える世界トップクラスのダンサーたちは、ラモーの音楽に合わせて動きを作っていき、ラモーが発展させた「オペラ・バレエ」を現代人に共感できる表現として蘇生させた。
バロック音楽と現代のダンスの相性はいい。1996年に英国ロイヤル・オペラで、現代舞踊界の雄マーク・モリスが、ラモーの「プラテ」を演出して高い評価を受けた。近年、演出の可能性が出尽くした観のある従来のオペラに変わって新しい演出の可能性を模索する劇場や演出家などによって、バロック・オペラへの取り組みが積極的に行われている。
日本では、91年のモンテベルディの「ウリッセの帰還」などいくつかのバロック・オペラが上演されたが、現在のヨーロッパの最先端を行く演出での上演は行われていない。今回の公演は世界の音楽状況を身をもって体験する機会となるはずである。
産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
(C)2006.The Sankei Shimbun All rights reserved.
■記事関連情報
公演は11月4、5、7、8日、Bunkamuraオーチャードホール(電)03・3477・9999。
|