1970年代に活躍したロックバンド、サディスティック・ミカ・バンドが、17年ぶりの新アルバム「ナルキッソス」を25日に出した。ちょいワル風のベテラン4人に、紅一点、人気歌手の
木村カエラが加わり、懐かしさと新しさが入り交じる作品となった。リーダーの加藤和彦は「ミカ・バンドという名前のもとに、何でもできる『自由区』みたいな部分は踏襲されていると思う」と手応えを語った。
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左から小原礼、高橋幸宏、木村カエラ、加藤和彦、高中正義 |
加藤ミカをボーカルに昭和47年デビュー。遊び心満載の作風で人気を得て、日本のバンドで初めて英国ツアーを成功させるなど日本のロック草創期を彩った。50年、突然解散したが、平成元年に桐島かれんのボーカルで再結成し、アルバムを発表した。そんな経緯から、厳密にいうと「今回は再々結成」(加藤)となる。
きっかけは、今年2〜7月に放送されたキリンラガービールのCM出演。木村カエラを含めた5人で代表曲「タイムマシンにおねがい」を披露したところ大きな反響を呼び、アルバム制作の話が持ち上がった。
加藤(ギターなど)、高橋幸宏(ドラム・ボーカル)、高中正義(ギター)、小原礼(ベースなど)の4人はデビュー時のメンバー。長いブランクがあったが、合宿状態で行った軽井沢でのレコーディングでは、すぐに息があったという。
「互いの信頼感はずっと同じなので話し合う必要なんてなかった」と加藤。「みんな30年近く音楽をやっていて、それぞれの音楽観というか、ボクらは『グルーブ』と呼んでいるんですけど、それが増しているように感じた」と振り返る。
「いかに自分たちが満足できるか」を念頭に11曲を収録。「タイムマシン−」以外は新曲だ。リリー・フランキーが、ELVIS WOODSTOCKの名で歌詞を提供した曲「Tumbleweed」は注目のひとつ。「リリーらしく叙情的な歌詞。やっぱり小説家っぽい言葉の使い方をしてますよね」
そして何より木村カエラの歌声が、アルバムに花を添える。加藤は「団塊世代の昔からのファンも、中学生ぐらいのカエラのファンも、両方楽しめると思う」と話す。
「音があれば、年の差なんて!」。アルバムジャケットの帯には、そんなコメントを入れた。
映画監督、井筒和幸監修のドキュメンタリー映画「サディスティック・ミカ・バンド(仮題)」が来春に上映される予定で、再び話題を集めそうだ。