10月31日に主に米国で行われるお祭り「ハロウィーン」にあわせた商品の販売展開が国内で活発化している。ハロウィーンの名が日本人にも徐々に浸透してきたことに加え、女性をターゲットにした新しい市場としての期待感が、小売業界で高まっていることが背景にある。果たしてハロウィーンは、バレンタインデーやクリスマスと並ぶ“お祭り”に成長していくのだろうか。
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ローソンでは、カボチャのお化けにちなんだパンなどを発売中=東京都江東区の「ローソン南砂二丁目店」 |
菓子など50種類
景気の回復により、売り上げが増加傾向にある百貨店では、ハロウィーンを「追い風となる新たな商機」ととらえ、キャンペーンに力を入れる。その1つ、東京の西武百貨店池袋本店では今年から、洋菓子やパン売り場でのハロウィーンキャンペーンを大幅に拡充した。
カボチャ、クリなどを使ったハロウィーン用スイーツやパンの品ぞろえは、昨年の倍以上の約50種類、キャンペーン期間も昨年は数日間程度だったが、今年は参加ブランドのほぼすべてが、10月1日から1カ月間展開する。
「ハロウィーンは最近、幼稚園や小学校で行事がおこなわれ、若い母親らにとって身近になってきている。また女性は一般的にイモやクリ、カボチャが好き。ハロウィーンを通じ、若い女性・母親をターゲットとした市場を開拓したい」と同店広報担当の得丸真実子さん。池袋店では毎月、スイーツの人気投票を実施しているが、今月は1日あたり平均約100通を数え、通常の約5倍。関心の高さがうかがえるという。
3社がスクラム
コンビニエンスストアも、ハロウィーン商戦に力を入れ始めている。
ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスの3社は、ハロウィーン直前の日曜日である29日、「業界全体で盛り上げるため」共同でハロウィーンに合わせた営業促進キャンペーンを、初めて実施する。同日午前10時から、3社あわせて2万1500店の店頭で、小学生以下の子供にキャンデーを先着200人まで無料配布する。
また、各コンビニチェーンは独自のキャンペーンも全店規模で展開する。ローソンはカボチャの形や風味をした「パンプキン メロンパン」、カボチャプリンが丸ごと入ったシュークリーム「かぼちゃプリン生シュー」などのオリジナル商品を販売。サークルKサンクスも、お化けカボチャの顔をデザインした「おばけカボチャのカプチーノケーキ」などを発売する。
コンビニが力を入れる背景には、新規出店競争の激化で既存店の売り上げが低迷している現状を打開したいという狙いがあるようだ。「若い男性が70%を占める客層に、女性や中高年などを取り込み、層を広げたい」とローソン広報の中村新(しん)さん。カボチャのお化けなどにかわいらしいイメージがあるハロウィーンは、若い女性客獲得の絶好の機会ととらえているようだ。
中村さんは「ハロウィーンがクリスマスやバレンタインのように『お祭り』として認知されていってくれれば」と期待を寄せている。
認知度7割超す
「ハロウィーン」は、キリスト教であらゆる聖人を記念する祝日「万聖節」(11月1日)の前夜祭で、もともと秋の収穫を祝い、悪霊を追い出す意味合いがあった。米国などでは、お化けなどの扮装(ふんそう)をした子供が家を回り、お菓子をねだる風習がある。
ハロウィーンに対する日本人の認知度は上がっているようだ。インターネット調査会社「マイボイスコム」が昨年11月、10代以上の男女約1万5000人を対象に、ハロウィーンとはどんな行事か知っているかを聞いたところ、77・2%が「知っている」と回答。「名前だけ聞いたことがある」という人は22.1%で、「知らない」人は0.7%に過ぎなかった。
しかし、ハロウィーンにあたって何かおこなったかを尋ねたところ(複数回答可)、「特に何もしていない」が75.4%。「関連グッズを買った」「ちなんだお菓子や料理を購入した」人はそれぞれ1割以下で、自分が参加するイベントとしてはまだ定着していない様子がうかがえる。