卵入り、マヨネーズブレンド、からし明太子に、もみじおろしぽん酢、コラーゲン配合…。これらすべて、納豆のたれのバリエーション。大粒、ひきわりなど、粒型に加え、納豆の「味」の選択肢が広がっている。
差別化の切り札
すき間なく25種類ほどの納豆が並ぶ、ダイエー碑文谷店(東京都目黒区)。最下段の平場にはセットで100円以下の特売品が、そして中、上段に“変わりたれ付き”の商品が並ぶ。
「売り上げの7割が最下段の特売品で占められているのが実情ですね」と、同店デイリー担当の杉内康雅さん。
納豆は毎日食べる人もいる身近な食品なだけに、安いものに手が伸びるのも当然のこと。1800億〜2000億円といわれる市場もここ数年、頭打ちの傾向で、メーカーはたれに付加価値を付け、差別化を図った商品を次々と投入している。
昨年発売した「金のつぶ」ブランドの「梅風味 黒酢たれ」で、変わりたれブームの火付け役となったミツカンは、秋の新商品で「とろ〜りたまご入り醤油(しょうゆ)たれ」「もみじおろしぽん酢たれ」など3種を発売した。
中でも「たまご入り」は、「約8割の人が何度かに1回は納豆を食べる際に卵を入れている、という調査結果に着目して商品化した」(ミツカングループ本社コーポレートコミュニケーション部)。卵のまろやかな風味となめらかな口当たりが幅広い層にウケて、ヒット商品になっている。
この「ありそうでなかった」というのがキーワードの1つだ。
表の通り、試したい薬味の上位に挙げられるマヨネーズをブレンドした「マヨソース醤油たれ付」を発売しているのは、「おはよう納豆」のヤマダフーズ。淡泊な味にコクが加わり、サラダやピザなど、洋風料理にも合うようになった。
美容やコラボも
たれとの相乗効果で「美容」という新機軸を打ち立てたのが「おかめ納豆」のタカノフーズ。
女性たちが注目する“美肌成分”コラーゲンを配合した「発酵コラーゲン納豆」は、1パックの納豆に1000ミリグラム、たれにも1500ミリグラムのコラーゲンが含まれており、1日の目標摂取量がとれるようにした。
この商品は、主婦で構成された「女性が考える商品開発委員会」が“食べてきれいになれる納豆”をコンセプトに開発。このヒットを受けて先月末には、納豆だけでなく、たれにも食物繊維と、腸内環境を整えるのに役立つオリゴ糖を含む「繊維 de スッキリ」を新発売した。
また今後、注目を集めそうなのが“コラボたれ”。8月末までの期間限定で発売された、あづま食品の「ごはんですよ!入り納豆」は、その名の通り、桃屋の定番ののりつくだ煮「ごはんですよ!」をブレンドした特製たれが若い層にも人気を呼んで来年、再発売されることが決まっている。
約30年前にたれを添付した商品が登場したことで、手軽なおかずとなり、市場が一気に拡大した納豆。変わりたれがさらなる成長に一役買うか。