テレビ朝日系の長寿番組「日曜洋画劇場」が10月で40周年を迎えた。ビデオ、DVD、映画専門チャンネルと“ライバル”が増えても、日曜日の午後9時を楽しみにしている視聴者は多い。特に、翌日から仕事が始まるサラリーマンのお父さんたちにこの番組は支えられているという。
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「ラストサムライ」 |
番組は昭和41年10月1日、「土曜洋画劇場」として当初は土曜枠でスタートした。記念すべき第1回放送はハンフリー・ボガート、エバ・ガードナー主演の「裸足の伯爵夫人」。初回視聴率は14・9%だった。
「時代は高度経済成長期。猛烈サラリーマンが週末の家族サービスを終え、夜になって一息つく。普段は映画館に行かない人たちが1人で、または家族と一緒に見る。傾向として動きが派手なアクションものを放映することが多いので、男性がスカッとした気分になれると思います」
同局映画センターのプロデューサーで、番組に22年携わっている福吉健はそう話す。
名解説者だった淀川長治さんは1回目から登場。番組最後の有名なフレーズ「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」は、淀川さんが亡くなる平成10年11月まで続いた。その後何人かが担当したが、「淀川さんは偉大すぎました。適任者がいませんね」(福吉)と現在は解説者を置いていない。
スタート当時は「ララミー牧場」「奥さまは魔女」「ローハイド」「コンバット」など米国のテレビシリーズが全盛。そんななか、テレビで米映画を放送する試みは画期的だった。日曜枠に移行したのは昭和42年4月。初期は「慕情」「ピクニック」など名作が多かったが、50年代に入ると、ハリウッドの大作が目立ち始める。58年10月9日、秋の特番として放送した「スーパーマン」は32・1%という史上最高視聴率を獲得。この記録は今もって破られていない。
このころから家庭用ビデオデッキが普及し、レンタルビデオ店が人気に。平成3年には映画をメーンに放送するWOWOWが開局。CS放送にも映画専門チャンネルが増え、DVDの時代へ突入する。地上波のゴールデンタイムにはテレビ東京「木曜洋画劇場」、日本テレビ「金曜ロードショー」が存在するが、最近の吹き替え人気などにも支えられ、番組はほぼ安定した視聴率を保っている。
福吉は「映画界は“邦高洋低”といわれ、作品選定も模索の時代に入ると思いますが、継続は力。一方でデジタル放送や大型テレビなどハード面の普及は、今後の映画放送にとってはメリットが大きい」と期待を寄せる。41年目へ向け、10月29日に放映される「亡国のイージス」をはじめ、「ラスト サムライ」、「デイ・アフター・トゥモロー」、「北の零年」など大作がめじろ押しだ。