国内自動車市場の頭打ちが続くなか、燃費の良さが魅力の軽自動車は依然として好調だ。ここ数年のガソリン価格上昇を背景に各社は相次いで新車を投入し、ほぼ全社が販売台数を伸ばした。ただ、業界内には店頭での値引き競争を懸念する声もあり、メーカーにとっては収益の確保も焦点となる。排気量1リットル程度の小型車との燃費競争も続くとみられ、好調を維持するには、新たな付加価値の創造が不可欠といえそうだ。
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軽自動車の売れ行きは好調。各メーカーが個性を打ち出そうと開発にも力が入る=東京都港区の三菱自動車 |
新車ラッシュ
軽自動車の好調さの背景にあるのはガソリン価格の上昇だ。軽自動車は燃料1リットルあたりの走行距離が20キロメートル以上という燃費の良さが評価され、平成15年を境目に販売台数は右肩上がりになった。
平成18年は各社の新車発表も重なった。1月から3月にかけてはスズキ「MRワゴン」、三菱自動車「i(アイ)」、日産自動車「モコ」、ホンダ「ゼスト」が相次いで販売開始。6月も富士重工「ステラ」とダイハツ「ソニカ」が発売される新車ラッシュだった。
この結果、上半期の販売台数は、シェアトップのスズキを除いた6社が前年同期比プラスを達成。各社は下半期にも新車投入を予定しており、年間販売台数200万台突破は確実な情勢だ。
市場は国内
軽自動車は市場が国内に限定されているため、メーカー同士の販売競争が過熱しやすい。新車ラッシュで軽自動車の値引き合戦も続いており、三菱自の益子修社長は「軽自動車市場が年間300万台というレベルになるわけではない。これからパイの奪い合いが激しくなる」と予測する。
そんな事態に対応するかのように、スズキは8月、19年度までに軽自動車の生産を6万台減らし、代わって小型車生産を9万台増やすと発表した。競争過熱で利益が出にくい軽自動車から、世界中で需要が見込め、単価も高い小型車にシフトしようとの戦略だ。
鈴木修会長は「経営者として売上高や利益を優先させる。(軽自動車販売台数トップという)名誉は後からついてくる」と強調する。
“弱点”も
また、軽自動車の強みである燃費も、いつまでも独り勝ちが維持できるわけではない。
小型車の代表格であるトヨタ自動車の「ヴィッツ」、ホンダの「フィット」の燃費は燃料1リットルあたり24キロメートル台で、多くの軽自動車を上回っている。軽自動車の低燃費イメージは「ユーザーの先入観で作られている」(業界首脳)という面があるからだ。
軽自動車は車内空間の広さや走行性能では、どうしても登録車に劣ることは事実。軽自動車の販売競争を勝ち抜くには、燃費や価格以外の新たな魅力を付加した商品開発が求められる。