「男もやっぱり身だしなみが大事?」−。書店に男性用ファッション誌が、薬局には男性用化粧品が並ぶ時代。服装や小物に凝る男性も増え、男のおしゃれは当たり前になっている。家電業界もこうした動きに着目し、男を“磨く”ための「メンズ美容家電」を相次いで投入している。需要が確実に広がりをみせる中で、注目の商品やその効果を紹介する。
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美顔器(左奥)やヒゲトリマー(左手前)など種類が増える中で、男性用の美容家電市場は着実に拡大している(撮影・田端素央) |
イチローや中田英寿らスポーツ選手の影響もあって、若者を中心におしゃれアイテムとしての市民権を得たヒゲ。ジレットジャパン(横浜市)の調べでは、平成16年度の日本男性の“ヒゲ人口”の割合は全体の12%と前年から1・5倍に急増。とくに20歳代では5人に1人がヒゲをたくわえているという。
これまでヒゲを整える道具は、ハサミやカミソリが主流だったが、最近では電気式の「ヒゲトリマー」が各社から売り出されている。
ジレットの「ブラウン クルーザー3」(実勢価格6800円)は見た目は電気ひげそりだが「そる、刈る、整える」の1台3役が売り物だ。ひげそりとしての機能はもちろん、器具を装着するとヒゲの長さを4段階に調節できるヒゲトリマーとして使えるほか、ヒゲの輪郭を整えるきわぞりも可能。値ごろ感もあり、若い層を中心に人気だ。
頭皮のお手入れができる家電も登場している。ツインバード工業が8月に発売した「頭皮洗浄ブラシ モミダッシュプロ」(希望小売価格2万1000円)は電動歯ブラシの“頭皮版”だ。美容師の手の動きを再現して毛穴の汚れをもみ出すように優しく洗うことができるほか、育毛剤使用後の頭皮のもみほぐしにも適しているという。
「テレビ番組で取り上げられた後、インターネットのブログなどでも話題になった」(宣伝広報課)といい、10月ごろから売り上げが伸びてきた。
こうしたメンズ美容家電を「メンズビューティビズ」などとしてシリーズ化しているのが松下電器産業だ。関連商品は数年前の2倍の10種類(ひげそりは除く)に上っている。
ビューティケア商品チームの加藤慎太郎さんは「エステサロンに通うことに抵抗感のある男性は多く、これまでも自宅で手軽に手入れができる美容家電への潜在需要はあった。そこで『男性向け』を前面に押し出した商品戦略を採用した」と説明する。
このうち、スチーム式美顔器「イオンスチーマーナノケア」(実勢価格1万8000円)は、体積が通常のスチーム(湯気)の約2万分の1という微細なスチームが肌の奥まで浸透し、男性の肌特有の「てかり」やかさつきも防ぐ。
同シリーズの毛穴吸引器「スポットクリア」(実勢価格6000円)は小鼻周辺の毛穴から皮脂を取り除く器具で、吸引しながらミスト(霧)を発生させる方式を採用し、吸引力は従来比3倍となった。両商品の売り上げは当初計画の2倍に達しており、「今後も拡大が期待できそう」(加藤さん)という。