個人に照準、メーカー知恵比べ
オフィス家具・文具 こだわり派が増加
東京朝刊 by 塩原永久
家具や文具などのオフィス備品メーカーが「おしゃれな仕事場」を演出する商品を相次いで打ち出している。SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)などの個人事業主が増加し、“自分の城”であるオフィスに個性を求める人が増えたためだ。各メーカーは、机のオーダーメードやデザイン事務所と協力した商品開発などに取り組み、客のこだわりに応えようと躍起だ。
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文具・家具メーカーのプラスがオーダーメイド対応のオフィス家具向けショールームを披露=東京・赤坂(撮影・塩原永久) |
プラスは21日、東京・永田町に22日にオープンする家具のショールーム「+プラス(プラス・プラス)」を公開した。普通の家具店と違って完成品は展示されておらず、机の天板や脚といった部品だけが並ぶ。
客は約150種の部品をもとにオーダーメードで購入する。プラスの今泉嘉久社長は「既製品では顧客を満足させられなくなった。色や触り心地を確かめながら部品を選んでもらい、オリジナルの一品を提供したい」と新型店舗への期待感を示した。
オフィス家具の需要は頭打ちだ。昨年度の年間販売額は約3000億円と前年から横ばい。プラスは大企業や官公庁を主な顧客にしてきたが、ここ数年の起業ブームを背景に、「今後は、独立してSOHOで仕事をする人など個人事業主向け市場が有望」とみる。プラス・プラスの照準はこうした小規模事業主で、3年後に200店の出店を計画している。
仕事で使うものにこだわりを持つ人が増えたのは、文具も同じだ。「商談相手に会社のイメージを印象づける」(大手文具メーカー)ことから、デザイン性を追求した文具への需要が拡大。メーカーには、工業デザインの専門家と商品開発する動きも広がる。
メーカー8社が協力して設立した文具企画会社「クラフトデザインテクノロジー」は、海外の著名デザイナーに商品デザインを依頼。グラフィックデザイナーなどの個人事業者から引き合いが多く、5000円のはさみも月100丁以上売れているという。
企業のコスト削減でオフィス備品の需要が減る中、個性的なデザインで商品の差別化を図るメーカー各社の知恵比べが続く。
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