液晶画面上の“ペット”を育てて遊び、一大ブームとなった携帯型ゲーム「たまごっち」が発売10周年を迎えた。約4000万台を売った初代機種は次々と進化し、通信機能を加えて2年前に発売した機種は、小学生を中心に第2次ブームを巻き起こした。23日にも新機種が発売される予定で、進化するたまごっちが世代を超えた新たなファンの心をつかもうとしている。
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新たな機能を加えて進化してきた「たまごっち」の歴代機種=東京都豊島区のワールドインポートマートビル(撮影・塩原永久) |
たまごっちは10年で3世代の進化を遂げ、機種を刷新するたびに、新たなファン層を獲得してきた。
初代は2000円で買え、手軽にペットとのふれ合いが楽しめる魅力から、女子高生を中心に大ヒット。人気は一時、下火になったものの、2年前に開発された第2世代の「たまごっちプラス」は、ゲーム機間で赤外線通信ができる機能を付加し、再び2500万個を販売した。
バンダイは通信機能を加えたことで、「友達同士でゲーム内のペットを交換することで、コミュニケーションの道具となり、小学生の心をつかんだ」と分析する。
その後も、携帯電話やパソコンと通信できる機能がついた機種を開発。子供から大人まで幅広い層から支持され、「業界屈指のヒット商品」(玩具メーカー)となった。
初代たまごっちの低迷は、バンダイの経営の屋台骨も揺るがすことにもなった。過大な需要予測に基づいた生産により在庫を抱え、平成11年3月期には60億円の特別損失を計上。少子化の逆風にあえぐおもちゃ業界の再編にもまれ、バンダイはナムコと合併することにもなった。
バンダイは18、19日、東京・池袋のワールドインポートマートビルで記念イベントを開催する。関係者を招いた17日、会場には、これまで販売された主要機種の約100個がずらりと並び、発売から10年の足跡が紹介された。
その中には、23日に発売する新機種「たまごっちスクール」のコーナーも登場した。これまでの機種は、ペットの世話をして遊ぶものだったが、新機種は学校を舞台に、生徒を育てあげる内容。
バンダイは「たまごっちは社業とともに歩んできたおもちゃ。新機種は従来とまったく違うものにすることで、さらに新しいファン層をつかみたい」と意気込んでいる。