その時、主人公が手にしたものは…栄養食品
ゲーム内広告 “バトル”白熱
東京朝刊
世界最大のゲーム市場である米国で現地時間19日、任天堂の次世代機「Wii(ウィー)」が日本市場に先駆けて発売され、次世代ゲーム機「3強」の戦いが始まる。300億ドル(約3兆5000億円)の巨大市場を構成するゲーム機やソフトに加え、新たな市場として期待が高まっているのが、ゲーム内の看板に企業名を入れたり、商品を登場させる「ゲーム内広告」の手法だ。米国ではゲーム広告代理店の買収が始まり、日本でもゲームソフトメーカーなどが広告事業に乗り出し始めるなど、ゲーム内広告に注がれる視線は熱い。
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主人公が「カロリーメイト」を食べると体力が回復する仕掛けで話題を呼んだコナミのゲームソフト「メタルギアソリッド3」(コナミ提供) |
「ゲームがゲームとして語られる時代は終わる。ゲームは『メディア化』する」。ゲーム雑誌大手エンターブレインの浜村弘一社長は、こんな衝撃的な未来図を描く。
ネット広告ビジネスに注力し始めた米マイクロソフト(MS)は5月、ゲーム内広告代理店のマッシブを買収した。オンライン機能を持つゲーム機「Xbox360」で活用するためだ。ネット上の広告は次々に「差し替え」が可能な上、ユーザーの個人データに基づく「ピンポイントの広告が打てる」(MS幹部)利点がある。2億〜4億ドルとされる買収額を費やしてでもゲーム内広告のノウハウが必要だった。
米調査会社のヤンキー・グループは、ゲーム内広告市場規模は2010年に現在の13倍にあたる7億3200万ドルに達すると予測したが、9月には米ゲームソフト最大手のエレクトロニック・アーツがマッシブなどと提携し、自社ソフトを通じた広告ビジネスに参入。AOLやニューズ・コーポレーションなどのメディア大手もゲーム関連企業の買収に乗り出すなど市場拡大が続く。
日本でもコナミが2年前に発売した「メタルギアソリッド3」には大塚製薬の栄養食品「カロリーメイト」が登場する。食べた主人公の「最高にウマかった」というセリフとともに体力が回復する仕掛けで、異色のコラボレーションが話題を呼んだ。さらに、最近のオンラインゲーム人気で、新広告媒体としての期待が、より高まっている。
10月にはガンホー・オンライン・エンターテイメントが、ネット広告のオプトなどとゲーム内広告の企画で提携。ネット広告大手のサイバーエージェントもゲーム内広告専業の子会社を設立した。今後、ゲーム内広告が普及してくれば「ゲーム利用料を下げることもでき、顧客拡大につながるのでは」(業界関係者)との期待もある。
オンラインゲームの国内市場規模は、昨年は前年比42%増の820億円となり、今年は1000億円超えは確実。さらに、年末商戦ではオンライン接続機能を持った次世代機も参入する。来年が日本の“ゲーム広告元年”となる可能性もある。
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