ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の次世代ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」が11日、発売された。ただ、生産遅れによる品不足から発売初日の出荷台数は10万台で、家電量販店などではゲームファンらが徹夜で列を作った。来月2日には任天堂の「Wii(ウィー)」が発売予定で、米マイクロソフトの「Xbox360」を含めた3社の次世代ゲーム機競争が本格化する。
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次世代ゲーム機「PS3」の販売がスタート。家電量販店では徹夜組が商品を手に入れて自宅へ帰る姿がみられた=11日午前9時49分、大阪市北区のヨドバシカメラ |
大阪市北区の家電量販店「ヨドバシカメラ マルチメディア梅田」では、開店前の午前7時半から販売を開始。用意した1000台は約2時間半で売り切れた。購入希望客は前日の午後2時ころから並び始め、約1000人が徹夜したという。家族3人で並んでいた東大阪市の会社員。木村晴海さん(32)は「疲れましたが、手に入れることができてほっとしました」と話していた。
PS3はソニーがPS2以来、約7年ぶりに市場投入した据え置き型ゲーム機。「スーパーコンピューター並み」といわれる高い処理能力を持ち、高精細な映像でゲームを楽しめる。次世代DVD「ブルーレイ・ディスク(BD)」を再生できるのも特徴だ。
価格はハードディスク容量20ギガバイトのモデルで4万9980円。当初は6万円を超える設定だったが、発売直前の9月に急遽(きゅうきょ)値下げに踏み切った。同60ギガバイトの上位機種はオープン価格で、店頭価格は6万円前後の見込み。ソニーが赤字拡大を覚悟して値下げした結果、販売現場では「ゲームユーザーに何とか手が届く価格になった」(大阪市内の家電量販店)とみている。
しかし、初回の出荷台数は10万台にとどまり、量販店では「各店舗に商品を十分そろえることができない」(ビックカメラ)と頭を悩ませている。ソニーは今年度中に全世界で600万台の販売を目指しているが、当面は商品が手に入りにくい状況が続きそうだ。
一方、「家族で楽しめる」というコンセプトを前面に打ち出したのが任天堂のウィー。価格も2万5000円と比較的買いやすい設定だ。
任天堂は、国内だけで約1100万台を販売した携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」ですでに女性や中高年など幅広いファンを獲得しているのが強み。ウィーでは、DSに続き「ゲームをやらない層にも関心を持ってもらう」(岩田聡社長)。
今月3日からのウィーの体験イベントには、初日の名古屋会場に約1万2000人が来場。「DS発売前の体験会を上回った」(同社)といい、関心の高さが伺える。
次世代ゲーム機をめぐっては、米マイクロソフトが、昨年12月に発売したXbox360の廉価版(2万9800円)を今月2日に市場投入。「売れ行きは順調」(同社)と自信をみせる。ゲーム調査会社のエンターブレイン(東京)では、年末商戦ではウィーがリードするが、PS3も2〜3年後に一気に普及し、逆転するとみている。