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定番から懐かしのアイテムまで
「かわいい×実用性」で人気 ミニチュア文具
  東京朝刊 by 海老沢類
携帯電話のストラップとして使えるミニチュア文具が人気を集めている。なじみのあるデザインで、手のひらに楽々収まる超ミニサイズ。アクセサリー感覚で使えるかわいらしさに加え、文具としての実用性を備えている点が、若い女性だけでなく、ノスタルジーに浸りたいサラリーマンたちの心をもとらえているようだ。

「かわいい×実用性」で人気 ミニチュア文具
表紙カバーの付いたキャンパスノートのミニ版は縦5センチ、横3.6センチ。メモ帳として使える=東京都渋谷区の渋谷ロフト(撮影・海老沢類)

値段は高め?
東京・渋谷の「渋谷ロフト」の一角には常時80〜100種類のミニチュア文具が並ぶ。キャンパスノート、ドクターグリップ(ボールペン)、プリット(スティック糊)…。誰もが使った経験があるだろう、なじみ深い定番文具を外見はそのままに携帯ストラップのサイズに縮小したものだ。

「小さくてかわいいと評判で、ファンは女子中高生からサラリーマンまで幅広い。売り場の中でもできるだけ目立つ場所に置くようにしています」と、渋谷ロフトの田中由起子さん。今年夏のコーナー設置以来、毎月500個以上が売れる人気だという。

価格は200〜300円台が主流。モデルとなった文具よりも高めだが、「携帯につけるアクセサリーとしてみれば安い」と、ギフト用に購入していく客も多い。

名が売れた商品のパロディーという側面だけでなく、実際にペンやメモ帳として使えることも人気の秘密のようだ。

ミニチュアのボールペンを携帯電話に付けている、都内のメーカー勤務の男性(52)は「会社内にいても席を離れている場合、筆記具を持っていないこともある。困ったときに携帯に付けたボールペンで相手方の連絡先をとっさにメモすることがある」と、意外な実用性を指摘する。

おまけが“発祥”
先駆けは、ゼブラが2年前に発売した油性マーカー「ハイマッキー」のミニチュア版だ。看板のロングセラー商品を、バーコード1つに至るまで忠実に再現したデザインが話題を呼び、限定発売の50万本がたちまち完売した。ゼブラ広報室は「もともとは5本パックの油性ペンに付けた販促用のおまけ。しかし、『どうせなら書ける機能を』という声が社内で高まり、商品化に踏み切った」と誕生の裏話を披露する。

「かわいい×実用性」で人気 ミニチュア文具
子供のころを思いだす懐かしいデザイン。フタを外せば、ボールペンに…=渋谷ロフト(撮影・海老沢類)
ゼブラの成功に続けとばかり、他の文具メーカーも看板商品の“ミニチュア化”に懸命になっている。

コクヨは7月、カドケシ(消しゴム)、プリットなど知名度が高い定番8商品のミニチュア版を発売。パイロットコーポレーションも、累計2億本を売り上げている極細タイプのボールペン「ハイテックC」などのミニチュア版を商品化した。

「懐かしさ」に訴えかけるのは、絵の具とクレヨンをかたどった、ぺんてるの携帯ミニボールペン。「手にした人同士が懐かしさで盛り上がることができる」(マーケティング部)ように、絵の具のチューブは、昔懐かしい金属製チューブのデザインを採用している。

スリムノートも
携帯電話のメモ機能が発達したこともあり、筆記具を持ち歩かない人も増えているが、小さくてスリムな文具への関心は高い。

ここ数年、縦の長さはそのままで、横幅を半分ほどに縮めたスリムタイプの手帳やノートが相次いで発売されているのも、「『かばんの中にスッポリと収まる』と若い女性に好評」(渋谷ロフト)だからだ。

パイロットコーポレーション営業企画部の田中万理さんは「手帳の背中に差し込むタイプのボールペンなど、持ち運びに適した小さな筆記具の需要は昔からあった。ミニチュア文具はアクセサリー的な意味合いに加えて実用性もあり、今後1つのジャンルとして残っていく可能性はある」と期待を寄せている。



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