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アナログ感が人気
手帳市場が花ざかり 
  東京朝刊 by 塩原永久
来年版の手帳が文具店や書店の店頭に並ぶ時期になった。ここ数年、各界で活躍する人が「手帳活用術」を書いた本が相次いで出版され、スケジュール管理だけでない利用法が注目されている。カラフルな“魅せる”手帳の増加や、大型化も進展。メーカー側が忙しい現代人の生活に対応した新製品の開発に力を入れるなど、手帳市場がますます広がりをみせている。

2007年(平成19年)版の手帳では、さらにカラフル化や大型化が進んだ=東京都港区の日本能率協会マネジメントセンター(撮影・塩原永久)

アナログがいい
「仕事用とプライベート用手帳に加え、最近は格言のような気になる言葉を書くため、もう1冊持ち歩いている」と話すのは東京都内の人材開発会社に勤める男性(36)。

以前は手帳代わりにPDA(携帯情報端末)を使ったこともあったが、「結局アナログな手帳に戻ってきた」という。理由は「書くことによって覚え、見返せば内容を思い起こせる」からだ。

手帳のオリジナル活用術を書いた本の出版やインターネットのサイトの開設が相次ぎ、夢や目標を書き込んだり、空きスペースを日記代わりに使う事例が紹介されている。自筆で書き入れることで、決意や自戒の気持ちが強まる効用を説くものもある。

名作文学などの習字本ブームも出現し、書く動作を見直す動きが高まる中で、手帳は単なる予定表の意味合いを超えようとしているようだ。

ユニセックス化
「仕事とプライベート両方を重視する女性のための手帳を作る」。日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の開発担当者は、そんな思いでこの秋に発売した「ペイジェムアティーナ ポケット」を企画した。

女性約50人に聞き取り調査を実施し、カラフル、大型の書き込み欄の特徴に加え、バッグに入れやすいように縦15センチ、横9センチと小型化した。

高橋書店が販売する小型手帳「ティーシリーズ」も女性の人気が高く、同社は「女性向けの定番商品に育った」という。

JMAMによると、手帳の女性購入者は年々、増加傾向にある。メーカーが女性を念頭に置いた商品開発を進める半面、持ち運びやすさから「男性の愛用者も増えてきた」(高橋書店)といい、手帳の「ユニセックス化」も同時に進む。

大型化も進む
一方で、大型化の流れも進んでいる。約2500種を扱う文具小売り大手の銀座・伊東屋は、仕事の多忙な20〜40歳代を主な対象に、「A5判(21×15センチ)など存在感があるサイズの商品をメーカー各社が拡充している」と指摘する。

「黒」一辺倒から脱却してカラフルになってきた手帳だが、さらに鮮やかさを追求した商品も増えている。

仏の有力ブランド「クオバディス」は今シーズン、中間色の手帳を打ち出した。紫とピンクを合わせたような「モーブピンク」や、花の「ライラック」カラーが、「原色系の色合いに飽きた消費者に受け入れられるはず」(クオバディス・ジャパン)と期待する。

今年は“手帳元年”でもある。「手帳をみて1年を振り返り、新しい手帳を準備する時期」として、今年から12月1日が「手帳の日」に制定されたのだ。現代人の生活に応じ、ページ表示やサイズなどに工夫を重ねてきた手帳。今後も現代生活の“鏡”として、さまざまな商品が出てきそうだ。

手帳のタイプと特徴
【月間タイプ】1カ月のカレンダーが1ページに収まる表示形式。1日に2件程度の予定の人に便利

【週間タイプ】朝から夜までの時間目盛りがふってあり、予定がたくさんある「多忙な人」向け

【機能+α型】家計簿やダイエットの進捗管理表が付いたものなど、特定の目的を求める人へ

【大型手帳】A5判やB6判などで、広い書き込み欄を利用し、日記や「将来の夢」を書くなど広い用途



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