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吉例顔見世大歌舞伎
菊五郎流 円熟の政岡を披露 
  東京朝刊 by 生田誠
歌舞伎の尾上菊五郎が1日から始まる歌舞伎座(東京・東銀座)の「吉例顔見世大歌舞伎」で、女形最高の大役、政岡を演じる。市川團十郎、片岡仁左衛門、中村富十郎ら顔見世にふさわしい豪華な役者が顔をそろえる中、円熟の政岡を披露する。

菊五郎流 円熟の政岡を披露
尾上菊五郎

仙台・伊達家のお家騒動を題材にした「伽羅(めいぼく)先代萩」の舞台は室町時代の足利家という設定。乗っ取りを狙う仁木弾正(團十郎)一派と、阻止しようとする忠臣の渡辺外記左衛門(市川段四郎)らの壮絶な権力争いが描かれている。「竹の間」「御殿」の場面は奥女中の争いで、幼君の鶴千代を守る乳人(めのと)の政岡が、弾正の妹、八汐(仁左衛門)らと対決する。

菊五郎は昭和60年、歌舞伎座で初めて政岡を務めた。「成駒屋(中村歌右衛門)さんに教わりました。政岡に『型』はなく、その人に合ったやり方があると言ってくださった。ぼくは(『御殿』の場の前に)『竹の間』の場を入れて、『飯(まま)炊き』のないやり方がいいと」

政岡の最大の見せ場は、「御殿」の場にある茶道具でご飯を炊く「飯炊き」の場面ともいわれるが、菊五郎はこの「飯炊き」を演じたのは1度だけだという。

「飯炊き」を外した「御殿」の場の前に入れた「竹の間」では、鶴千代を毒殺しようとする八汐らの陰謀が渦巻き、医者の妻や忍びの者も登場し、政岡と激しい争いを繰り広げる。「同じ成駒屋さんからでも(坂東)玉三郎さん、(中村)福助くんにそれぞれ、いろんなやり方が伝わった」。菊五郎はストーリー性を重視した歌右衛門直伝の「竹の間」だ。

「御殿」では、八汐らが用意した毒入り菓子を食べ、毒味役である政岡の子、千松が殺される。じっと耐え、独りになって初めて嘆く政岡が見どころ。「すぐに親子にならないことが大事。最初は烈女で、だんだんと母親になっていく。八汐らにやりたい放題やられ、最後の5分間で爆発する。政岡はストレスのたまる役」と話している。

夜の部では珍しい「雛助(ひなすけ)狂乱」を踊る。歌舞伎座では初上演で、江戸期に若くして死んだ人気役者、嵐雛助が初演した。菊五郎は捕り手と立ち回りを見せる秋田城之助を演じる。ほかに、團十郎「河内山」、中村芝翫、仁左衛門「良弁杉由来」も。25日まで。(電)03・3541・3131。



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