セブン−イレブン・ジャパン/白元
「オーツーサプリ」酸素も買う時代
7月28日(金) 東京朝刊
「都会ばかりでなく、空気のきれいな地方にも、お金を払って酸素を吸いたいという人がこんなにいるとは…」。白元グループ経営統括本部の内木(ないき)桂さんが驚けば、セブン−イレブン・ジャパン商品本部の小堀洋司さんも「消費者の健康に対する関心度は、われわれが考える以上に高いようです」。
コンビニエンスストア最大手と日用雑貨メーカーが共同開発した、コンビニ業界初の酸素缶。1缶の酸素容量は3・2リットル。1回2秒の吸入で計約35回利用できる。過労やストレス、運動不足などで現代人に不足がちな酸素をいつでも簡単に補給できるというコンセプトが、30代のビジネス層を中心に受け入れられ、反響を呼んでいる。
5月に東京、神奈川、千葉で発売したのに続き、6月からは取り扱いを全国に拡大。「売れるのは大都市だけではないか」という声もあったが、ふたを開けてみれば、地方にも繰り返し購入する客が現れた。多い店で1日約20本売れるという。
両社が開発に乗り出したのは平成15年。ちょうど、酸素水や酸素バーなどが注目され始めたころだ。「当時、商品化していたら、売れていたかどうか。この3年で、酸素を買うという消費者意識の下地がようやく整ってきた」と、小堀さん。
缶入りの酸素は以前からあった。だが、スポーツや登山の愛好者向けがほとんど。そこで手に取りやすいよう、アロマテラピーの要素を取り入れた。20種類の香りを試した結果、選んだのは2種類。頭をすっきりさせるミントの香りを「頭脳カン」として、リラックス効果があるというグレープフルーツの香りを「カラダカン」と名付けた。
内木さんは「酸素自体に香りを付けると、香りの鮮度が落ちるため、香りの付いたシートをマスク部分に取り付ける工夫を施しました」という。
日常使いには欠かせない携帯できる手軽さも、人気の理由だ。500ミリリットル入りペットボトルとほぼ同じサイズにして、ビジネスバッグに入れやすいよう配慮されている。
今や関連商品があふれ始めた酸素市場。「買う酸素」を一過性の人気に終わらせず、新たな習慣として根付かせられるか。(頼永博朗)