コンビニ・外食産業 “割れる”対応
割りばし 中国産値上げで有料化の動き
7月27日(木) 東京朝刊 by 石垣良幸
「水と安全」と同様、「ただ」が当たり前の割りばし。その最大の供給国である中国が値上げに踏み切り、割りばしの価格が上昇している。年間何億本も使用するコンビニや外食産業にとってはコスト増大の要因で、調達先の変更や有料化を模索する動きが出始めている。
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輸入価格高騰で割りばしも有料化?1膳5円で売り出したコンビニも=東京・神田錦町のミニストップ |
■年間 258億膳
林野庁によると、平成17年の割りばしの消費量は約258億膳(ぜん)で、うち254億膳を輸入に頼っている。そのうち99%を占める中国の輸出団体が昨年12月、約30%の値上げを実施したことで、一気に波紋が広がった。
輸入業者も値上げせざるを得なくなり、「最も安いシラカバの割りばしで、卸売価格を1膳60銭から10〜20銭引き上げたところもある」(日本輸入割箸協会)。なかには「1膳1円30銭に上がった」との指摘もある。
中国が値上げに踏み切ったのは、割りばしの原料であるシラカバの値上がりなどが大きな理由だ。森林保護の観点から中国が割りばしの輸出規制を検討しているともいわれ、大量の割りばしを使用するコンビニや外食業界にはコスト増の懸念が拡大している。
牛丼大手の吉野家ディー・アンド・シーでは、年間約2億膳の割りばしを消費している。大手コンビニのローソンでは年間約5億膳にも上る。両社とも現状では、それほど大きな影響は出ていないとするものの、「50銭上がれば単純計算で1億円コストがアップする。このまま価格上昇が続けば厳しい」(吉野家)と頭を悩ます。
■国産回帰も
一方、コンビニ大手のミニストップは、6月から一部の店舗で国産の割りばしを1膳5円で販売する取り組みを始めた。
「国産割りばしの需要を増やすことで、林業を産業として立ち直らせたかった」と同社の須藤和幸さんは説明する。割りばしの利用をきっかけに荒廃する森林の整備が進めば、地球環境の保全につながる。顧客の環境意識に訴えながら、「割りばしはタダ」という“常識”の転換を狙う。
現在は4店舗で割りばしを有料化しているが、通常通り無料提供も継続しているため、1店で1日に売れるのは4、5膳という。それでも「少しずつ理解される」と、7月末から取扱店舗数を700〜800程度に広げる考えだ。
飲食店の中には洗って何度も使う塗りばしやプラスチック製はしを使うところも出始めており、価格上昇は割りばしのあり方を改めて考え直させるきっかけになっているようだ。