「BRICs」へ消費地シフト
薄型テレビ 各社海外生産を増強
7月20日(木) 東京朝刊 by 田端素央
松下電器産業やソニーなど電機各社が海外で薄型テレビの生産体制を増強している。薄型テレビ需要は日本が先行しているが、欧米だけでなくBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)市場でも需要が高まるとみられ、各社は工場新設や能力増強で対応する。
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松下電器産業が発表した世界最大となる「ビエラ」103型プラズマテレビ |
薄型テレビの心臓部にあたる薄型テレビパネル生産は電機各社の“秘伝”とされ、技術流出を防ぐため国内生産が基本だが、半導体や電子部品を取り付ける組立工程は各社とも「消費地生産」にシフト中だ。海外では薄型テレビ市場が急拡大。電子情報技術産業協会の予測では、欧米の薄型テレビ需要が2010年に現在の約4倍に拡大する見通し。BRICsなどその他地域では現在の6倍とされる。
松下は7月からブラジルでプラズマテレビを、9月からロシアで液晶テレビを生産する。日本企業のロシアでの薄型テレビ生産は初めて。07年からは25万台体制を整える。既存のメキシコとチェコも能力増強する。
シャープは来年1月、ポーランドの液晶部材工場が稼働する。生産能力は年120万台。5年後には年産1000万台に引き上げる。ソニーは欧州でスペインに加え、4月からスロバキアでも生産。年度末までに両工場の生産能力を現在の約3倍の350万台に引き上げる。日立製作所も東欧に薄型テレビ工場を建設する。建設地はチェコが有力視される。
松下は19日、薄型テレビ「VIERA(ビエラ)」の新製品を発表した。シリーズ最上位モデルのプラズマ4機種で、次世代DVDなどに対応した高精細の「フルハイビジョン」が特徴。世界最大の103型は受注生産で実勢価格は600万円前後。いずれも発売・受注開始は9月1日。