ファン層重なり正面衝突
「水戸黄門」第36部 今度の刺客はNHKの鶴瓶!?
7月20日(木) 東京朝刊 by 安藤明子
TBS系ナショナル劇場(月曜後8・0)の主軸として、同枠の人気を牽引してきた長寿時代劇「水戸黄門」の第36部が24日からスタートする。里見浩太朗演じる五代目黄門の今回の世直し旅は日光東照宮を皮切りに山陰道、山陽道へと足を運ぶが、思わぬ“ライバル”が行く手に出現、一行をあわてさせている。4月から同時間帯に移行したNHK「鶴瓶の家族に乾杯」がそれ。ともにシニア層をターゲットにしており、ファン獲得を巡り正面衝突することになったから、サア大変…。

水戸黄門

里見黄門が登場したのは平成14年の第31部。以来、平均視聴率17%前後(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を維持する一方、黄門休止期間に放送されたドラマ「こちら本池上署」(主演・高嶋政伸)も15〜16%と健闘してきたが、異変が生じたのはこの春。TBSが同枠50周年を機に新たなファンを掘り起こそうと、「本池上署」に代わって企画した「特命!刑事どん亀」(同・西田敏行)の初回2時間スペシャルが12・3%のワースト発進。5月には歴代最低の10・0%を2回も記録する一方、15%以上をマークしたのは6月12日の16・1%だけという最悪の事態となった。

人気コミックが原作で黄門同様にほのぼの系の「本池上署」と比べ、「どん亀」は秘密兵器や変装などを駆使した荒唐無稽(むけい)なストーリー。加えて西田のスケジュールの都合で放送前に全収録が終了していたため手直し不可能−などの条件が重なったが、「NHKの(笑福亭)鶴瓶さんにやられた」というのがTBSサイドの一致した声だ。

その「鶴瓶の家族に乾杯」は10年前、歌手のさだまさしと鶴瓶のコンビで、「土曜特集」の月1回企画として始まった紀行バラエティー。2人が前触れなしに地方都市を訪れ、そこで出会った人々(主に老人)との交流をきっかけに家族、日本人の心模様を描く“みなさまのNHK”的な内容がシニア層を中心に人気を呼んだ。昨年4月からは鶴瓶と、さだに代わってゲスト(2週連続の前後編)を起用し、金曜午後8時からレギュラー放送。平均13%近い視聴率をマークしていたが、さらにこの4月から月曜午後8時に“転戦”したところ、7月上旬時点で平均14%に上昇し、「どん亀」に2%近く水をあける結果となった。

しかも「どん亀」が最高視聴率16・1%をあげた6月12日に、NHKが放送していたのはシニアには人気が低い「サッカーW杯ハイライト」(10・6%)。「どん亀」パート2があるかどうか現時点では未定だが、黄門関係者の心中は複雑だ。

中尾幸男プロデューサーは「視聴者層が重なる環境の中での初体験。今までにない危機感を持っている」といい、ロケ映像を駆使するなど、マンネリ気味の長寿番組のてこ入れに懸命。主演の里見も「黄門のテーマは人間愛。鶴瓶さんの番組とダブるので正直なところ心配」と気を引き締める。

対する「鶴瓶−」の荒木美弥子プロデューサーは「TBSの過剰反応に驚いている」としながらも、「ロケ先で『いつも見てますよ』と認知度が上がったのは事実。長寿番組に向けて育てていきたい」と秘めた闘志を話す。両者の対決からしばらく目が離せない。

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