「便乗商売」にも注意を
「かゆい」と思ったら…マメな掃除でダニ退治
7月19日(水) 東京朝刊 by 村島有紀
うっなんだか、かゆい…もしやダニ? と、あわてて殺虫剤と防ダニ加工シーツを買いに走った経験がある。梅雨時期から夏にかけては、ダニが発生しやすい時期。ダニ発生・増殖のプロセスや、ダニを効果的に防ぐ方法を調べた。

種類
東京都健康研究安全センターによると、ぜんそくなどのアレルギー反応を起こすダニの代表は、ヤケヒョウヒダニなどチリダニ類。1年中、たたみやじゅうたん、布団のなかにいてフケやアカなどを食べる。発生は6月に多い。体調は0.3〜0.4ミリで乳白色。刺さないが、糞(ふん)や死骸(しがい)がアレルゲンとなる。

刺すダニの代表格がツメダニ類。体長0.3〜0.5ミリ。高温多湿を好み、4月から発生し、梅雨時期の6月から9月に多い。チャタテムシやチリダニ類を餌にする。刺されると、1週間ほどかゆい。

また、イエダニはネズミに寄生して血を吸う。ネズミが死んだ後にはいだし、時に人の血を吸うことがあるが、最近の被害は少ないという。

対策
ダニは高温多湿で、エサとなるものがあれば繁殖する。例えば、ヤケヒョウヒダニは1日に1、2個の卵を産み、幼虫は室温25度、湿度75%でよく成長し、60%以下で死亡する。そのため対策としては、室内をよく換気し、湿気がこもらないようにする▽掃除機をかけ、ホコリやチリ、食べこぼしを残さない▽天気の良い日に布団を干し、そのあとに掃除機をかける▽ぬいぐるみは丸洗いし、さらに掃除機をかける−などが挙げられる。

日本産野生生物目録(自然環境研究センター、1993年)によると、わが国にいるダニの種類は1790種。ダニ研究家で埼玉県衛生研究所企画室長の高岡正敏さんの報告によると、うち少なくとも135種が家のなかのチリから検出された。すべてが増殖するわけではないが、住居はダニの大切な生息場所の一部となっている。

都健康センターの大野正彦・主任研究員は「多くのダニのうち、人の血を吸うなど害虫となるのはごくわずか。咬まれたとしても、ダニかどうかはわからない場合が多い。きちんと調べたいなら、地域の保健所に相談を」とアドバイスする。

効果
小さな子供や高齢者がいる家庭を中心に防ダニ製品の需要は根強いが、その効果には疑問の声もある。

例えば、防ダニ効果をうたった布団やシーツ類は、主に(1)高密度繊維を使用して、ダニが通れないよう通過防止効果をもたせる(2)薬剤加工をしてダニを寄せ付けないようにする−の2方法がとられている。

しかし、(1)は、中には入らないが表面に付着する▽ダニの死骸や糞は成虫より小さく、繊維の間を通りぬける。(2)は、経年により、効果がなくなる▽どの種類のダニに、どれほどの効果があるのか不明−などの課題があり、過信は禁物だ。実際、国民生活センターが平成7年に行った商品テストでも薬剤による忌避効果はまちまちだった。

全日本寝具寝装品協会は「各メーカーが独自に防ダニ基準を設けているのが実情。使用薬品名はメーカーの企業秘密となっている」と話す。高岡さんは「コナダニには効果があってもチリダニにはない殺虫剤もある。アレルギー患者には大切な情報であり、防ダニ効果の評価をもっとしっかりする必要がある」と指摘する。

国民生活センターによると、ふとん販売に関する相談は14年をピークに年々減少しているが、今年4月以降、「布団を見て、『ダニがいる』といわれ、68万円の布団を購入したが解約したい」(20代男性)、「ダニやホコリがつかないといわれ、210万円で布団を買った」(同女性)などの相談が寄せられているという。

センターでは「ふとんダニを100%防ぐことは難しい。不安をあおるセールストークに乗せられず、必要性をよく考えて購入を決めてほしい」と話している。

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