「医療費削減」法制定で普及
サプリメント大国、米国 市場規模は日本の2倍
7月12日(水) 東京朝刊 by 滝川麻衣子
サプリメント(健康補助食品)大国・米国の市場規模は、日本の約2倍、年間約145億ドル(約1兆6530億円)と世界一。国民健康保険制度のない米国では、「自分の健康は自分で守る」が常識で、米国民の健康維持はビタミンやミネラルといったサプリメント抜きには語れない。医療費削減が課題の日本でも、サプリメントは予防医療の観点から「定着」へ移行するとみられている。サプリメント事情を本場米国で探った。
医薬品にとどまらず、コスメや食料品、生活雑貨がそろう米国のドラッグストア。棚に並ぶサプリメントの量と種類の多さに驚く。
男女別、50代以上向け、人気キャラクターセサミストリートの容器は子供用のグミサプリなどと細かく分類され、あらゆるニーズに応えた商品がそろう。
大手ドラッグストアチェーン「ウォルグリーン」は、ビタミン・ミネラル類のサプリメントの売上高が年間約4億3500万ドルに上る。種類もマルチビタミン、カルシウムから、脳・神経系向けのフィッシュオイル、目の保護用のアントシアニンなど用途も幅広い。
背景には、健康への意識向上と医療費削減を目的に1994年に制定された「ダイエタエリー・サプリメント・ヘルス・アンド・エデュケーション・アクト(DSHEA)」がある。サプリメントを明確に定義し、認定基準を厳しくした同法の制定が、サプリメントの普及に道を開いた。
販売先はドラッグストアにとどまらない。
昨今の話題は、フルーツや野菜をアイスクリームと混ぜて割ったスムージーやジュースに、サプリメント剤をトッピングするジュースバー。ジュースバーチェーン店では約4ドルのスムージーに、1種類無料で大豆プロテイン、ビタミン、ファイバーなどのサプリメントをトッピングできる。
また、カリフォルニア州サンタモニカの「ドクター・キース・デオリオ・ウエルスネスセンター」は東洋医学と組み合わせて診断し、サプリメント点滴を行うオーダーメード型ケアを行う。セレブも通う同センターは、病気の予防、疲労回復目的の顧客が多い。診察料175ドルにオーダーメードのサプリが45ドルから。1回に500ドル分を注文する顧客もいる。
日本で「ネイチャーメイド」ブランドで知られる、米サプリメント製造のファーマバイト社の理学博士キャロル・ライダー氏は「あくまで食事が基本だが、完璧(かんぺき)な食生活が毎日できるわけではない。体の基礎を作る意味で、マルチビタミン・ミネラルなどの基礎的サプリメントは現代人に有効」とし、「日本でも、サプリメントによる予防医療的考えは浸透していくだろう」と指摘する。