それぞれの内蔵助像
元禄忠臣蔵 内蔵助演じる名優3人
7月9日(日) 東京朝刊
国立劇場(東京・隼町)の開場40周年記念歌舞伎公演として10月から、真山青果作「元禄忠臣蔵」が3カ月連続の通しで上演される。全編の主人公である赤穂藩家老、大石内蔵助を、中村吉右衛門、坂田藤十郎、松本幸四郎がリレーで務め、それぞれの内蔵助像、それぞれの人間ドラマを作り出す。
「元禄忠臣蔵」は、大石以下、赤穂浪士の物語を、青果が骨太の人間ドラマにした新歌舞伎の大作。これまでも、全10編40場が1度に上演されたことはない。今回は初の試みとして、10月は「江戸城の刃傷」から「最後の大評定」、11月は「伏見撞木町」から「南部坂雪の別れ」、12月は「吉良屋敷裏門」から「大石最後の一日」まで、3カ月の通しで上演する。
10月に出演する吉右衛門は「私が受け持つのは『起』と『承』の部分。見ていただければ、真山先生をはじめとするこの時代の文人が、歌舞伎に何を期待していたかがわかる」。11月出演の藤十郎は「本心を出さないでじっと世間を見つめている、内蔵助という大きい存在が出ればいい」。また、12月に締めくくる幸四郎は「『最後の一日』は、死が(内蔵助の)心の中に入り込んでくる。昭和の歌舞伎を昭和の役者が立派に務めたい」と話している。問い合わせはTEL0570・07・9900。