革命って女性から始まる…
8日から「フィガロの離婚」 古村比呂が7年ぶり舞台
7月5日(水) 東京朝刊 by 柳谷昇子
オーストリアの作家エデン・フォン・ホルヴァート原作の舞台「フィガロの離婚」が8日から、東京・紀伊國屋サザンシアターで日本初演される。モーツァルトのオペラで有名なボーマルシェの喜劇「フィガロの結婚」の後日談を描く物語。羽場裕一と古村比呂が初共演する。
フランス革命後、召使いのフィガロ(羽場)は妻のスザンナ(古村)、伯爵夫妻(立川三貴、金沢碧)とともに亡命し、理髪師の仕事を始める。子供がほしいスザンナだが、フィガロは乗り気ではなく、夫婦の生活はすれ違い始める。やがてスザンナはフィガロに言い放つ。「私たち、もうおしまいよ!」
革命をはさんだ生活の変化に伴い、危機を迎えたフィガロとスザンナを中心に、さまざまな状況下に置かれた登場人物の行動、心情の変化を描いていく。「楽しいドタバタ喜劇と思って台本を読んだら、ドタバタ悲劇ともとれる。端(はた)から見て笑えるのが喜劇。笑わせようとするのではなく、台本の行間を感じながらリアルに演じたい」と羽場。
古村は約7年ぶりの舞台出演。子育てが一段落し、家族に背中を押されての復帰となった。「いいタイミングでしたが、40歳を過ぎると体力的に年齢を感じます」と苦笑いしつつ、「革命という大きなくくりの中で夫婦のかみ合いが話のベースですが、いまの時代にも通じる作品です。革命って女性から始まる…と、言い切りたい(笑)」。
この2人が演じる夫婦間のやりとりも見どころのひとつ。羽場は「夫婦げんかって言葉のやりあいですが、男はストレートに闘うけど、女って手練手管で頭を使ってケンカする。夫が別れてやると言っても別れないけど、女がそう言ったら本当に別れる。そんなしたたかさを感じる作品。スザンナのセリフや表情が最初と最後ではがらっと変わっているのがたくましい」と話している。