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「ストロベリーショートケイクス」
回り道の先には“奇跡”
   東京朝刊 by 福本剛
幸せを求める4人の女性に起こる“奇跡”を描いた映画「ストロベリーショートケイクス」(公開中)。魚喃(なななん)キリコの同名漫画の映画化だが、それぞれが傷つき、悩み、迷いながら人生を見いだす姿が印象的だ。性格も背景も異なる4人だが、矢崎仁司監督は「それぞれ抱きしめたくなるほどいとおしい存在だった」と話す。

2006ストロベリーショートケイクス・パートナーズ

家に石ころの“神様”を飾り、恋の訪れを願うフリーターの里子(池脇千鶴)。風俗嬢をしながらも1人の男を思い続ける秋代(中村優子)。男に愛されることで自分の居場所を確かめようとするOLのちひろ(中越典子)。プライド高く生きようとして過食症になったイラストレーターの塔子(岩瀬塔子)。

神様に願い事をしたり、世間を遮断して棺おけで眠ったり、男に愛される女性を演じたり、過食と嘔吐(おうと)を繰り返したり…。彼女らの逃避の形はさまざまだ。しかし、そんな回り道をしながらも、やがて、それぞれの人生に向き合うようになり、ある“奇跡”にたどり着く。

映画では、その過程をリアル感たっぷりに切り取っていく。まるで、彼女らのありのままの日常を投影するかのように。「人物のその場の感情をつねにクリアにしたかった」と矢崎。彼女らの負の部分も示されるが、それだけ本当の姿に近づくことができるという。

4人を演じた女優たちも個性的。里子役の池脇には「強い女の子で、しかも、ひょうひょうとしている。まさに彼女にぴったり」と矢崎も絶賛。また、他の出演者らも含め、「4人の女性は、撮り終わったときも抱きしめたい印象は変わらなかったので、作品に自信が持てた」と話す。

4人に同時に訪れる奇跡のひとときは詩的で美しく、ミステリアスに映る。苦しんだ4人への“ご褒美”なのか。矢崎は「感じてもらうことが大切。そして、何かを思いだしてもらうきっかけになれば…」と笑った。

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