SF映画「もしも昨日が選べたら」
人生のリモコンがあったら…幸せ? それとも…
東京朝刊 by 岡田敏一
人生の早送りやスロー再生ができる不思議なリモコンを手に入れたさえない男が、家族の大切さや人生の意義を再発見するSF映画「もしも昨日が選べたら」(フランク・コラチ監督)が23日から、公開される。「人間の根源的な幸せとは何か?」というシリアスなテーマをコメディー風の軽妙なノリで淡々と説く作風と、最新の特殊撮影技術を駆使したコミカルな映像をうまく合致させたユニークな娯楽作品だ。
米国では今年6月23日に封切られ、興行収入チャートで初登場1位を記録。これまでに約1億3500万ドル(約156億円)を稼ぎ、大ヒットの目安である興収1億ドルを突破している。
「人生を自由に操作できるリモコン」という単純明快なコンセプトに加え、「映画の面白さをうまく伝える秀逸な予告編も大ヒットに貢献した」(米映画業界関係者)という。
仕事一筋の割に実績が上がらない建築士のマイケル(アダム・サンドラー)は、ある日、大手量販店に買い物に出かけ、寝具売り場の奥にある怪しい部屋にたどり着く。そこには蝶ネクタイ姿のさらに怪しい従業員モーティ(クリストファー・ウォーケン)がいた。彼はマイケルに、万物を自在に操作できる「ユニバーサル・リモコン」を手渡す。リモコンのおかげで仕事も私生活も絶好調のマイケルだが、次第に後悔の念がふつふつとわき上がる…。
日本でも爆発的にヒットしたSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ(1985〜90年)の変形版といった趣向だが、妻(ケイト・ベッキンセール)の小言を「早送り」で聞き流したり、ムカつく上司を「一時停止」にしてブチのめしたりといったコミカルな場面が理屈抜きで楽しい。そんなアイデアを完璧(かんぺき)に実写で映像化してしまうところに、ハリウッドの底力をあらためて実感させられる。
脚本・製作は、米国で大爆笑を誘ったコメディー映画「ブルース・オールマイティ」(ジム・キャリー主演、03年)の脚本を担当したスティーヴ・コーレン。また、映画で多数使用されるTOTOやラヴァーボーイといった懐かしい1980年代のヒット曲も印象的だ。
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