映画「世界はときどき美しい」は静かな映像詩
御法川修監督が舞台あいさつ
10月25日(水) by 久保亮子
「時間を信じることができた。カチンコ(撮影開始の合図を音で知らせる道具)を持ってから15年。ようやくこの場所にくることができた」
東京・六本木ヒルズを中心に開かれている第19回東京国際映画祭(29日まで)に出品された長編「世界はときどき美しい」でデビューを飾った御法川修(みのりかわ・おさむ)監督(34)が24日、上映後に舞台あいさつした。
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(C)2006 「世界はときどき美しい」製作委員会 |
御法川監督は高校時代に映画監督を志し、静岡の下田から上京。崔洋一監督に師事し、「エレファント ソング 」(1994年)で助監督 、「平成無責任一家」(95年)で監督助手などを務めた。
長編デビュー作「世界はときどき美しい」は、主人公の語りに合わせて物語は静かに紡がれ、“映像詩”と評する人もいる。
70分の上映時間のなかで5つの短編が楽譜の小節のようにつながる。いずれも日常の一瞬、あるいはひとときを描く。5編のそれぞれの主演は松田龍平、市川実日子、片山瞳(新人)、松田美由紀、柄本明。
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(C)2006 「世界はときどき美しい」製作委員会 |
40代を目前に体調を崩し、これまでの自分を見つめなおし、生きていることの意味を問いかけてくる松田美由紀の演技が印象的だ。
「まだまだ小僧のはしくれですが、皆さんが私のデビュー作の最初の“目撃者”となっていただけたことに感謝しています」と、御法川監督は謙虚に語った。
当夜の“目撃者”のなかには、ミュージシャンの内田裕也の姿も。「汚(けが)れずに進んでいってほしい。おめでとう。ロケンロール!」と、内田らしい言葉で門出を祝われた瞬間、御法川監督のほおには一筋の光がこぼれた。
「世界はときどき美しい」は来春からユーロスペースで公開予定。
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