安田真奈監督 OLから転身
「幸せのスイッチ」 ユーモア満載、関西風味
10月6日(金) by 岡田敏一
小さな町で電器店を営む父と娘が、反発しながらも家族の絆(きずな)を確認していくヒューマン・コメディー「幸せのスイッチ」が14日から、公開される。元大手家電メーカーのOLから映画監督に“転身”したという異色の経歴を持つ関西出身の安田真奈は「関西人特有のユーモア感覚で、不幸も視点を変えれば幸せになるということを訴えたかった」などと語った。
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映画「幸せのスイッチ」のワンシーン (C)2006「幸福のスイッチ」製作委員会 |
和歌山県田辺市にある電器店「イナデン」が舞台だ。21歳の稲田怜(上野樹里)は、旧態依然とした経営にこだわる父親の誠一郎(沢田研二)に反発し、東京のデザイン会社でイラストレーターとして働くが、上司と激突して辞表を提出。自己嫌悪に陥るなか、妹のうその手紙で帰省する。待っていたのは骨折して病院に入院した誠一郎。父の代わりにしばらく店を手伝うことになるが…。
「山あり海ありの風光明媚(めいび)な町で、関西でも特に方言が強い」が、田辺市をロケ地に選んだ理由だとか。メーカー勤務中から映画製作(会社は2002年秋に退職)を続け、「新人研修も町の電気屋さんだった」だけに、十八番ともいえる題材だが、それでも大阪や奈良、兵庫、愛知に出向き、あちこちの町の電器店を徹底的に取材した。
「いまでも頼まれれば夜中の2時にクーラーの修理に出かける電気屋さんがけっこうあるんです。驚きました」。
都会ではほぼ消滅した濃密な地域コミュニティーへの郷愁や、大量生産・大量消費社会への反発といった硬派なメッセージも見え隠れするところが面白い。
関西出身者で固めたキャストの軽妙な関西弁のやりとりや、漫才を思わせるテンポの良さは「吉本新喜劇がDNAに刷り込まれている」と笑う監督ならでは。「想定外のビッグスター」という沢田の存在感が強烈だ。
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