原書通りの過激歌詞
ルー・リード 映画「南京」にオリジナル曲
11月30日(水)東京朝刊
【ワシントン=山本秀也】南京事件(1937年)の70周年にあたる来年に発表予定の米ドキュメンタリー映画「南京」(仮題)について、音楽担当と伝えられた米ロック界の大御所ルー・リードの事務所は28日、映画制作に参加することを認めた。作詞・作曲にあたり、リードは故アイリス・チャンの著書「レイプ・オブ・南京」を読んだとしており、「誰かが殺し、暴行する」といった、同書のイメージに沿った過激な歌詞が使われている。
リードの事務所「シスターレイ・エンタープライズ」によると、この映画のために作曲し、録音した作品は「重力」「安全地帯」の2曲。事務所では「曲のイメージを得るために、南京には行っていない。ドキュメンタリーの映像をみたほか、レイプ・オブ・南京を本人が読んでいた」と説明している。
「安全地帯」は事件当時の南京市内に設けられた避難民保護区域の名で、事件のキーワード。「重力」は人間の理性が地に落ちるとの意味で、一部が公開されているライブ映像では「重力は(南京を囲った)城壁も突き抜ける。守るものは何もない」「誰かがこいつを殺し、誰かがあいつに暴行する」とリードが歌っている。
おびただしい事実誤認の上に日本批判を展開した「レイプ・オブ・南京」だが、映画を制作した米インターネット大手企業「アメリカ・オンライン」(AOL)のテッド・レオンシス副会長も、ブログ(7月31日付)で、「(本を)読み進むごとに恐るべき状況から数十万の中国人を救おうとした勇敢な欧米人の物語があふれてきた。(中略)私はこの物語を他の人々と共有しなければと思った」と制作の動機を述べている。
ルー・リードは60年代からニューヨークを拠点に活躍する大物ロック歌手。96年にロックの殿堂入りを果たしたほか、99年にグラミー賞を受賞している。
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