「プラダを着た悪魔」
今年最高に元気が出る1本!!
10月16日(木) 大阪夕刊
今年最高に元気が出る1本。女性の憧(あこが)れ、一流ファッション誌のカリスマ編集長と助手の“闘い”が熱い映画「プラダを着た悪魔」は、働く女性の夢や悩みをゴージャスなファッション界とともに描いたサクセス・ストーリー。怪物上司と渡り合うヒロイン役のアン・ハサウェイが、身も心も美しく、かっこよく変身していくのは高揚感いっぱい。かつて「プリティ・ウーマン」でスターに駆け上がったジュリア・ロバーツのように、21世紀最初の“シンデレラ”として記憶されるだろう。
ファッション誌の編集長、ミランダ(メリル・ストリープ)の助手になったアンディ(ハサウェイ)。おしゃれに無関心の彼女は最初、ミランダの無理難題やファッション、生活へのこだわりがまったく理解できない。
だが、一方でやる気だけでは無理なことも分かってくる。ひっきりなしにかかってくる用事の電話、命令される業界用語はちんぷんかんぷん。そんなアンディが立ち直ったのは皮肉にも、偉大な芸術ともいうファッションへの“開眼”だった。
とりあえず風の学生スタイルから、極上のスタイリッシュな容姿への変身場面は圧巻。あっという間にトップモデルになってしまうのだ。このワクワク感は爽快(そうかい)この上ない。まるで、ヒーロー映画の変身シーンである。
その後のアンディは、変身後のヒーローのように、上司の攻撃もてきぱきこなす。不可能に思える難題も、友人の助けで完璧(かんぺき)に応じ、ついに上司を黙らせる。
だが、この映画の後味がいいのは、上司が単なる悪役でないこと。ヒロインを育てる師匠であり、一緒に雑誌を向上させる同志であり、陰謀を封じ込める仲間でもある。そういう点では、ストリープの怪演も素晴らしく、ハサウェイの輝きも彼女の圧倒的な存在があってこそなのだ。
ヴォーグ誌編集長の助手経験のあるローレン・ワイズバーガーの小説が原作。監督は、米テレビ「セックス・アンド・ザ・シティ」を手掛けたデヴィッド・フランケル。同番組でトレンドを生んだパトリシア・フィールドが今作でも衣装を担当、モードの最前線に誘ってくれるのがうれしい。
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