「ピンクパンサー」 13日公開
2代目警部 スティーヴ・マーティンは自然体
5月12日(金) 東京朝刊
【ロサンゼルス=岡田敏一】13年ぶりに復活した人気コメディー映画「ピンクパンサー」(ショーン・レヴィ監督、13日公開)。故ピーター・セラーズが演じてきたジャック・クルーゾー警部役に、米を代表する喜劇俳優スティーヴ・マーティンが挑戦。元祖とは違うモダンな警部を演じたマーティンに、その苦労や撮影の裏話を聞いた。
ストーリーは、世界的なサッカー監督が、母国での仏対中国戦で仏を勝利に導くが、スタンドにいた恋人の有名歌手ザニア(ビヨンセ)の目の前で毒矢で殺害され、彼の指からは「ピンクパンサー」が消えていた…。
あのクルーゾー警部を演じる苦労を尋ねると、「苦労したというより、(役作りは)ホントに情けない俳優の悲劇といった方が正しいかな。専門の先生にフランス語風アクセントを習うレベルから始まったからね。先生に『意識してアクセントを付ける必要はありません』と教えられ、それでフッ切れて自分流にやったら、インチキイタリア語までフランス語に聞こえるようになったんだ。凄(すご)いだろ?」。
セラーズへの尊敬の念は忘れないが、自分なりのクルーゾー警部を自由に演じたという。作品への批評については、「いろんな批評が載るけど、俳優を含めほとんどの芸術家は、ホントの批評と、インターネットで流れるトンチンカンな批評との区別ができないからね」と意に介さない。
笑わせようとするサービス精神の旺盛さは取材中も変わらない。「僕や(共演の)ジャン・レノは、記者会見で印象に残る受け答えをしようと前日から考えたのに、ビヨンセときたら『素晴らしい方々と共演できて光栄です』だと。誰でも言えるよ、そんなこと。ところが翌日の新聞は、そのコメントしか載ってないんだよ!?」
米アカデミー賞の司会も務めたハリウッドの超大物だが、そんな素振りは一切見せない。
「ドラマなら少し演技が失敗しても『ドラマじゃない』と怒る人はいないよね。でも喜劇はウケなかったら『面白くない』といわれ、すべて終わり。厳しいんだぞ!!」