「海猿 LIMIT OF LOVE」
肉体的にも精神的にも「限界」に挑戦
5月9日(火) 大阪夕刊 by 戸津井康之
救命活動に命を懸ける海上保安部の潜水士を描く「
海猿 LIMIT OF LOVE」は、映画とテレビドラマシリーズの完結編。締めくくりにふさわしい壮大なスペクタクル巨編だ。「タイトルに負けないようキャスト、スタッフとも肉体、精神的な限界に挑んだ。気迫を肌で感じてほしい」と、羽住英一郎監督と主演の伊藤英明らが声をそろえた。
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「“海猿”は自分たちにとって特別な存在です」と熱く語る伊藤英明(右)と加藤あい |
「海猿」は2年前に公開されて大ヒット。そのエンドロールの最後が、続編を予告していた。炎上する大型客船の中で、伊藤演じる潜水士、仙崎が絶体絶命の状況にある衝撃的な映像が一瞬流れる。
2年前のインタビューの際に羽住は、「“掟破り”だったが、キャストやスタッフ全員が続編を作りたい思いでいっぱいだったから」と苦笑しながら明かした。情熱は、現実のものとなった。テレビに引き継がれ、さらに映画完結編へとつながったのだ。
≪鹿児島沖で大型客船が座礁。仙崎は人命救助に向かう。が、船は炎上。パニックに包まれた船内には仙崎の恋人の環菜(加藤あい)がいた…≫
伊藤は「4年間シリーズにかかわり、仙崎の成長は僕の役者としての成長でもある。潜水シーンなど肉体的にも追い詰められたが精いっぱい全力を出し切れました」と振り返る。これを受けて加藤は「これで終わりという実感がわきません。私の中ではまだ海猿は途上にある…」と、強い思い入れを語った。
あえてタイトルは「海猿2」としなかった。「映画、テレビ版で持つ先入観を捨てて見てほしかったから。ハリウッドに負けない“本格ドラマであり海洋アクション”という上質なエンターテインメントに改めて挑戦しています」と臼井裕詞プロデューサーは思いを込める。
ダイバーのインストラクター資格を持つ伊藤が肉体限界の潜水場面に挑むほか、初出演組の吹越満、大塚寧々らもスタント無しで潜水に挑戦。安藤親広プロデューサーは「泳げない大塚らが必死の形相で潜水するなど俳優陣はまさに命懸け。ドキュメントを撮るような緊張感ある現場でした」と言う。
羽住が語気を強めた。「これまでにない危険で過酷な撮影でしたが俳優もスタッフも逃げなかった。いいシーンを撮るためには、あえて困難な方法を選ぶような現場でした。4年間の苦労はこの作品を撮るためにあったと言えます」