「ブレイブストーリー」×「ゲド戦記」
この夏 アニメ決戦はフジVS.ジブリ!
6月30日(金) 東京朝刊 by 松本明子
今夏はアニメ映画が続々と公開される。なかでも日本のアニメ2本の話題が先行している。フジテレビが初めてオリジナル・アニメを手掛けた宮部みゆき原作「ブレイブストーリー」(7月8日公開)と、スタジオジブリの最新作で宮崎駿監督の息子、宮崎吾朗の初監督作品「ゲド戦記」(同29日公開)。両者とも大ヒットへ向けて多彩な宣伝戦略を展開している。
「ブレイブ−」は製作委員会に5社が入っているだけに、テレビCMをはじめ、街頭広告、野外ビジョンなど派手な宣伝を行っている。ワーナー・ブラザース映画によると、これまでに例を見ない18種類のテレビCMを用意。劇場予告編も通常なら2本だが、今回は4パターンを流している。
また、ワーナーとしては初のビジュアル・ポッド・キャスティングを使った宣伝に力を入れている。パソコンからダウンロードした映像をiPodで見られるシステムで、今年に入って日本でも普及し始めた。「ブレイブ−」については製作発表、アフレコ製作の様子など、これまで14、15回更新しているという。
ワーナー宣伝部は「映画は口コミ情報が客足を左右する。おもしろい情報をネット上により早く流し込み、広く知ってもらう。現在はブログがはやっており、ネットの宣伝効果は絶大」と話す。
一方の「ゲド−」は、ジブリ作品として初のウェブ展開を行っている。監督のブログを昨年12月中旬から公開、ほぼ連日更新されており、多いときには1日約5万件のアクセスがあるという。そのほか作品紹介や、ジブリでは異例の予告編も載せられている。
もうひとつの目玉は、19歳の新人歌手、手嶌(てしま)葵が歌う挿入歌「テルーの唄」(シングル発売中)。谷山浩子が曲を作り、萩原朔太郎の詩「こころ」にヒントを得た監督が作詞を担当した。胸にしみ入る旋律は、主題歌「時の歌」とともに心地よい余韻を残す。東宝は「派手な展開はしませんが、静かだけど力強い宣伝がジブリ作品の特徴です。映画のテーマをゆったりとした歌やCMで感じ取ってもらいたい」と話している。