アンディ・ラウ主演
アジア映画「墨攻」 大阪発、壮大な歴史ロマン
6月9日(日) 東京朝刊 by 戸津井康之
日中韓の合作映画「墨攻(ぼっこう)」の製作が進んでいる。製作費18億円、香港のトップスターのアンディ・ラウが主演する、この“アジアの大作”に、スタッフ7人の大阪の映画製作宣伝会社「TWIN」が加わっている。同社の吉鶴義光代表は「小さな会社でも大きな夢はかなえられる。映画界の東京一極集中に風穴を開けたい」と意欲を見せている。

中国の奥地で行われた「墨攻」のロケ。大自然を生かした臨場感あふれる戦闘シーンとなりそうだ

森秀樹が描いた人気コミックの映画化で、原作は酒見賢一。監督を務める香港のジェイコブ・チャンが10年前に漫画原作を読んで気に入り、映画化権を獲得。チャン監督と古くからの友人である吉鶴代表が賛同、日本側のプロデューサーを買って出た。

俳優陣はアンディ・ラウのほか、共演に韓国のベテランスター、アン・ソンギら豪華な顔ぶれ。撮影監督は「男たちの大和」の阪本善尚が務める。キャストとスタッフとも“アジアの精鋭”たちが描くのは、春秋戦国時代の中国を舞台にした壮大な時代活劇だ。

《燕(えん)の梁城を陥落すべく趙の軍勢が城を取り囲むが、城を守るために傭兵、革離(アンディ・ラウ)が単身乗り込む。彼は、侵略されそうな国を守るために無償で傭兵を派遣する思想集団「墨家」の一員だった。墨家は決して自ら仕掛けないが、敵の攻撃には敢然と立ち向かう無敵の武装集団であり、各国の将軍は彼らを恐れた。革離の死闘が始まる》

昨年10月、中国でクランクイン。中国の撮影に立ち会った吉鶴代表は「巨大な城のセットを忠実に再現し、数千の軍勢とアンディふんする革離との攻防戦は圧巻。ハリウッドをもしのぐ迫力あるアクション大作に仕上がるでしょう」と興奮気味に話す。いまは日本、中国などで編集作業が大詰めの段階だ。

TWINの設立は18年前で、当初は映画宣伝だけの会社だった。吉鶴代表は「今後も世界に通じる大作の企画から製作、宣伝までを手掛けていきたい。あくまで大阪から世界に映画を発信していきたい」と意気込んでいる。「墨攻」は中国、香港では今年末、日本では来年初めに公開予定。


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