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2006年 映画界を振り返る
邦画、復権 韓流は衰退
12月27日(水)東京朝刊  by 岡田敏一
21年ぶりに興行収入が洋画を上回ることが確実な邦画。一方、近年勢いがあった韓国映画人気にも陰りが見え始め、「M:I:III」「スーパーマン リターンズ」「X−MEN:ファイナル ディシジョン」などのハリウッド大作も思ったほどの大ヒットとはならず、大きな“転換点”を感じさせる1年でもあった。

年初から邦画は好調だった。「THE 有頂天ホテル」(三谷幸喜監督)は、「まさかこんなに大化けするとは誰も予想していなかった」(東宝)という興収60億8000万円の大ヒット。前年11月末から公開されていた「ハリーポッターと炎のゴブレット」と入れ替わるようにトップを維持し、注目を集めた。

一方、世界的な宗教論争にまで発展し、今年一番の話題作とみられていた「ダ・ヴィンチ・コード」(ロン・ハワード監督)。5月末に封切られたが、欧米での評価が芳しくなかったことや、原作を駆け足でたどったような作風が日本でも受け入れられず、目標の興収100億円には達しないという予想外の結果に。

これに対し、邦画はアニメ「ゲド戦記」(宮崎吾朗監督)や「日本沈没」(樋口真嗣監督)、「涙そうそう」(土井裕泰監督)、「デスノート」の前・後編(金子修介監督)などスマッシュヒットが続出。年末公開の正月映画でも、SMAPの木村拓哉主演の「武士の一分」(山田洋次監督)やフジテレビの人気ドラマの映画化「大奥」(林徹監督)などもヒットが予想される。

勢いを象徴するのが、上映本数だ。380本超えは確実で、過去30年間で最高となりそうだ。そして、女性監督の台頭も目立った。今年の邦画のナンバーワンの呼び声も高い「ゆれる」の西川美和監督や「かもめ食堂」の荻上直子監督らは今後の活動に期待が集まる。

こうした邦画の活況ぶりは米国でも評判に。米ロサンゼルス・タイムズ紙は文化面で大きく紹介し、ヒットメーカーで知られる亀山千広・フジテレビ映画事業局長の「日本人は笑いあり涙ありで身近な登場人物が活躍する作品を求めている。日本ではシュワルツェネッガーは必要ない」とのコメントを掲載した。

逆に、“韓流”は勢いを失った。昨年は「私の頭の中の消しゴム」が興収約30億円、ぺ・ヨンジュン主演の「四月の雪」が約27億5000万円とヒット。公開本数もフランス映画を追い抜き、ハリウッド映画に次ぐ地位を獲得したが、今年は半分近い34本に激減。「グエムル−漢江の怪物」「トンマッコルへようこそ」などの話題作が登場したが、興収10億円以上のヒットが出ていない。

また、「スーパーマン」のようなハリウッド定番の娯楽大作も思ったほど振るわなかった。今年の公開作品で興収100億円を突破したのは、昨年11月から公開されていた「ハリー・ポッター」を除けば、「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」(ゴア・ヴァービンスキー監督)だけ。退潮ぶりが少し寂しい。

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