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米国人監督が描いた意義
渡辺謙とイーストウッド 硫黄島を語る
12月22日(金) by USA TODAY
【ロサンゼルス=USA TODAY(アンソニー・ブレズニカン)】流血の戦いを敵の目を通して描くのはまれだ。映画「硫黄島からの手紙」で戦争全般への怒りを表現することでこれを実現させたクリント・イーストウッド監督(76)と渡辺謙(47)がインタビューに応じた。

渡辺謙

「手紙」は第2次世界大戦の日米による硫黄島の戦いを米国側から描いた「父親たちの星条旗」から派生した作品。渡辺は「日本にとって悲惨なできごとを日本で映画にするのは困難。星条旗撮影の話を聞き、出演を申し入れた」という。だが、「星条旗」に日本人は登場しない。

一方、イーストウッドは星条旗撮影で日本軍司令官、栗林忠道中将に興味を持った。「栗林が若いころ、ボストン、カナダに滞在していた際、家族に送った手紙を読み、その思いは私が子どもたちに抱いているものと同じだと知った」と語る。その栗林中将を渡辺が演じることになった。

栗林と手紙。イーストウッドが強調したかったのは、栗林の「この戦いは無意味かもしれない。だが、われわれは戦うためにここにいるのだ」という言葉だ。「米国が憎いのではない。国のために戦ったのだ」とイーストウッドはいう。そして、捕虜となった米兵が持っていた母親の手紙。兵士らの母親の思いは日米同じだったと示される。

硫黄島は日米にとって微妙なテーマだが、参戦した元米兵らにイーストウッドが聞いたところ、80代の彼らはむしろ「見てみたい」といった。渡辺は「日本人が撮影していたら、もっと感情的な映画になっていただろう」と、米国人監督が描いた意義を語る。

イーストウッドは「当時、自分は11歳。暮らしていたサンフランシスコではみな、日本軍の侵攻におびえていた。米国人はすべてよく、日本人はすべて悪いと教え込まれた」という。そのうえで、ダーティハリーで知られるこの監督は、「暴力を美化するような映画を作ってきたが、結局暴力は痛ましいものだ」と語った。

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