元校長と虐待受ける少女
奥田瑛二監督「長い散歩」
8月11日(金) 東京朝刊
奥田瑛二監督の3作目となる「長い散歩」(晩秋公開、写真)が、今年30周年を迎える「モントリオール国際映画祭2006」(24日〜9月4日)のワールドコンペティション部門に正式出品される。
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奥田瑛二監督「長い散歩」 |
「少女〜an adolescent」(平成13年)、「るにん」(18年)に続く3本目は「この名優で1本撮ることを念頭に置いて企画した」という緒形拳主演。奥田は原案・企画を務め、刑事役で俳優の顔も見せる。
「僕の映画のテーマは一貫して“真実の愛”。現代社会に足りないのは愛と情緒です。緒形さんで男のハードボイルド、内面の心に迫る映画を撮りたかった。これまでの緒形作品は若い監督が彼にビビッたから言いたいことも言えず、駄作が多かった(笑)。僕はビビらず意見を言うからそこから信頼関係が生まれてくる」
緒形も「奥田さんは細やかな人。大監督になる予感がします。自分の作品をスクリーンで見ると、いつも自分の点数が一番低いのですが、これは初めてくらい、なかなかいいです」と返す。
確かに2時間16分、密度の濃い映画だ。親が子供に虐待を繰り返す。絶えることのない若者の自殺…連日のように新聞などで報道される事象が作品の根底に流れる。亡き妻への贖罪(しょくざい)の念を背負う元校長(緒形)と、母親に虐待されている少女(杉浦花菜)の物語。
高岡早紀、松田翔太、津川雅彦ら魅力的な俳優が脇を固め、UAが歌う井上陽水の名曲「傘がない」がエンディングで流れる。(松本明子)
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