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「ハードキャンディ」
赤ずきんの“オヤジ狩り” ちょっと生意気エレン・ペイジ
8月4日(金) 東京朝刊 by 松本明子
恐ろしい物語である。インターネットの出会い系サイトで32歳の男性と知り合った14歳の少女が巧妙なゲームを仕掛ける。「ハードキャンディ」(5日公開)は、いわゆる日本の“オヤジ狩り”を映画化したものだが、つまらない題材かと思いきや、不思議とスクリーンに引き込まれる作品だ。主演のエレン・ペイジは撮影当時17歳(現在19歳)。少女のヘイリー同様、ちょっと小生意気な女の子で大人もたじろぐ受け答えぶりだった。

主演のエレン・ペイジ 「周囲の反応? ごめんなさい、言いたくないわ。これから見る人には何も知らせたくないの。この映画は本当にそういう作品なのよ」

本人に届いている感想を聞いたところ、ぴしゃり。こうも言う。

「人間は幼いころの環境が大きな影響を与えるということ。問題提起の映画ね。役者としては、見ている人に時には不快感を与え、居心地を悪くさせる役は光栄だったわ」

映画の宣伝文句が「出会い系サイトから始まる赤ずきんのオオカミ狩り」。まさに、赤ずきんを食べようとしたオオカミと同じく悲惨な結末が待っている。“はめられる”男性役のパトリック・ウィルソンがケヴィン・コスナー似の誠実そうな風貌(ふうぼう)で、追いつめられていくさまがより恐怖となって伝わってくる。

膨大なせりふの量をこなし、ほとんどが二人芝居だったパトリックについて「心が広くて熱心でファンタスティックな人」と語り、「出身のカナダでは“援助交際”という形で似たようなことはあるけど、“オヤジ狩り”は聞いたことない」。本人の私生活は読書少女で「ヘルマン・ヘッセ、村上春樹が好き」という。

ハリウッドの人気シリーズ「X−MEN:ファイナルディシジョン」(9月9日公開)も控えており、今後が期待される女優である。

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