年末から年始にかけて、海外に脱出したり、帰省する人が多いが、最近、正月を自宅で過ごす人も少なくない。家族と一緒にいたり、子供と遊ぶのもいい。また、「1年の計は元旦にあり」ともいうから、何か新しいことに挑戦するのも楽しいかもしれない。
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自宅で手軽に焼き物が楽しめる「ろくろ倶楽部」。若い女性にも人気が高い=大阪市浪速区の上新電機「スーパーキッズランド本店」
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「趣味は?」と聞かれて困る人も多いはず。そんな人にはタカラトミーの「ろくろ倶楽部」がおすすめだ。自宅にオーブンレンジがあれば手軽に焼き物作りが体験できる入門用のセットで、年末にとっくりやおちょこをつくって、正月に訪れる人たちをもてなせば、自慢の趣味として話すことができそうだ。
ろくろ倶楽部は、小型の電動プラスチック製ろくろに、専用土が1キロ、へら、土を切り取る「しっぴき」など、焼き物の製作に必要な道具がすべてそろっている。ろくろ倶楽部を販売している上新電機のスーパーキッズランド本店(大阪市浪速区)によると、「ろくろ倶楽部は30〜40歳代の夫婦に人気が高い。付属品もほとんどが売り切れて、在庫があるのは専用土だけ」という。
ろくろ倶楽部で湯飲み茶碗(ちゃわん)づくりに挑戦してみた。ろくろによくこねた土を置き、大まかな形を整えていくのだが、ろくろの回転速度は1分間に約40回転と普通のろくろに比べるとかなりゆっくりだ。
タカラトミーによると「回転が速いと、形が崩れやすくなり作業が難しくなる。実験を繰り返しながら、初めての人が失敗なく、形を作りやすいのが40回転だった」という。
土は適度の硬さで作業はしやすい。手に水をつけ、ゆっくり回る土の真ん中に両手の親指を突っ込み、徐々に茶碗の形にしていく。
回転によって形をつくる本格的なろくろと違って、粘土細工に近い感覚でできる。最後に飲み口をきれいにすれば完成で、この間は15分ほどだ。
形ができれば乾燥にはいる。乾燥には、3〜5日かかるが、急ぐ人には、オーブンレンジを使った急速な乾燥法もある。20〜30分で乾燥するものの、乾燥時に割れるケースもあるので、自然乾燥のほうがおすすめだ。
そして焼きの工程。ろくろ倶楽部の一番の特徴がこの焼き。普通なら1000度を超える高温の窯が必要だが、ろくろ倶楽部は窯の代わりにオーブンレンジを使う。時間も短く、30〜40分で焼き上がる。
低温でもきれいに焼ける秘密は専用土の成分にある。土の中には特殊な樹脂を配合し、低い温度でもきれいに焼き上がるようにした。タカラトミーは「小さな窯も市販されているが値段は30万〜100万円と、実用的ではない。専用土は焼くときの嫌なにおいも少ない」と話す。
焼き上がればうわぐすりを塗って、再度乾燥させてできあがり。本格的な焼き物と違い、うわぐすりはコーティング剤のようなもので、再度、焼く必要はない。食器として使用する場合は、うわぐすりを2〜3回重ね塗りして防水性を高める必要がある。
花瓶や置物として使うなら専用の絵の具で彩色したり絵も描ける。
焼き物のサイズは、ろくろに乗るか、オーブンレンジに入るサイズまでで、付属の土1キロで、高さ8センチ程度のコップが3個できる。
開発段階では、来年から大量に定年退職する時間とお金に余裕のある団塊世代をターゲットにしたが、通信販売では、OLなど幅広い層から注文があった。ろくろ倶楽部の年間目標販売数は、5万個を予定しているが、9月の発売開始以来、すでに3万個を出荷するほどの人気ぶりだ。
好調な売れ行きに、同社ではろくろの回転数を調節できる上級者用や、女性向けの桜色や水色などの土の発売も計画している。