英誌発表「日本は12万人の死者」
新型インフルエンザ 大流行なら世界6200万人が死亡
12月24日(日)
東京朝刊
鳥インフルエンザウイルスの変異により発生が懸念されている新型インフルエンザが、1918〜20年に流行したスペイン風邪と同じ規模で発生した場合、死者は6200万人に達する恐れがあるという研究が22日発行の英医学誌ランセット(電子版)に発表された。死者の96%は、栄養状況も悪くタミフルなどの抗ウイルス剤の備蓄が乏しい発展途上国に集中すると予測されている。
発表したのは、米ハーバード大のクリストファー・マレー教授のチーム。インフルエンザの大流行は10年から40年の周期で発生しているが、スペイン風邪は世界で4000万人、日本では39万人が死亡と最悪の規模だった。同チームは当時の27カ国のデータを解析し、2004年の世界人口を基に計算した結果、所得の低い国ほど死亡率が高い傾向となり、アフリカのサハラ砂漠以南で1700万人、中国で900万人が死亡すると予測している。
日本の死者は12万人と推計され、厚生労働省が推計していた64万人を下回った。電子版によるとマレー教授は「エイズやマラリア、結核などですでに苦しんでいる途上国が、いつ発生するかわからない新型インフルエンザに備え資源を振り向けることができるか」と問題提起している。
国立感染症研究所の谷口清州・感染症対策計画室長は「新型インフルエンザ対策は自国はもちろんだが、地球規模の問題だ」と指摘している。(杉浦美香)
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